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歌舞伎座で解説者デビューした鈴木裕里子さんを取材しました!

今月、歌舞伎座第一部『猿若江戸の初櫓』の解説を担当しているのは鈴木裕里子さん。鈴木さんは、《令和記念イヤホンガイド解説者オーディション》「令和チャレンジ賞」を受賞し、今回、歌舞伎座で解説デビューとなりました。

歌舞伎座での初解説の業務はどうだったか?鈴木さんご本人にインタビューしました。

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↑3月歌舞伎座『猿若江戸の初櫓』で解説者デビューした鈴木裕里子さん


―2019年(令和元年)の春に募集がはじまった《令和記念イヤホンガイド解説者オーディション》。受けることにした経緯を教えて下さい。

何か新しい分野に踏み出そう、と思っていたときにちょうどオーディションの宣伝を見まして、「どんな時でも歌舞伎は毎月見ているのだから、ここで本腰を入れて取り組んでみよう」と思ったことがキッカケです。

―現在は舞踊家としてもご活躍されている鈴木さん。小さい頃から歌舞伎をご覧になる環境にはいらしたんですよね。

はい、私は祖母の影響で、小さい頃から日本舞踊をしておりまして、自然と歌舞伎も連れて行かれ、観ておりました。小中学生の頃は祖母や母が、これならば子どもの私でも楽しめる、というものを選んでくれていたように思います。高校に上がったくらいから、自発的に、劇場へ通うようになりました。その頃には日本舞踊を生業としていこう、となんとなく決めておりましたので「お勉強」を口実にしながら、舞踊を中心に観ておりました。

―高校生の頃にすでに将来について決意していたのですね!

大学を出て、立方(舞踊家)として、さまざまな舞台にお声がけ頂くようになると、考えさせられたのが集客の問題です。日本舞踊に対して難しい、見たことがないからわかるか不安、という意見が多く、踊り云々、出演者云々、の前に日本舞踊とはどんなものであるか、他の舞台芸術とどう違うのか、を提示しないと公演に足を運んで頂けない。日本舞踊のみならず伝統芸能全体に言えることですが、外への発信や初心者へのフォローが少ないことに気が付きました。「理屈や難しいことを気にせず、感じるままに楽しんで観てください!」というのが乱暴であることに気が付いたわけです(笑)

学生のときから、お客様へのご案内状にちょっとした解説を添えることはしていましたが、もっと全体を通してお客様に向けた活動ができないかと考えるようになりました。そうするうちに公演の中で司会やアナウンスを頼まれることも増え、 言語化することを楽しんでいる自分に気が付きました。初めて日本舞踊を見て下さった方が、次も見てみたい、今度は歌舞伎や長唄の舞台に、と興味を持ち、世界を広げてゆく姿を見ることがとてもうれしかったのです。

―ご自身の舞踊家としての活動の中で、イヤホンガイドと近いことをはじめられていたのですね。

今思えば、そうですね。 そうして活動する中で、もう少し違うところからアプローチしてみよう、と考えていたときに、このオーディションを知りました。私なぞの知識でお役に立つのだろうか?とも考えましたが、オーディション応募者向けの説明会で高木秀樹さん(※イヤホンガイド解説者)が仰った「イヤホンガイドはサービス業。」という言葉に成程、と思い、応募を決めました。

―実際に、初めて解説を担当してみて、いかがでしたか?

まずは明るくおめでたい作品で気持ちが良かったです、というのは冗談半分としまして。・・・デビュー前に試作として2つ、解説を作っておりましたが、やはり本番と練習は違うものだと感じました。単語の選び方、置き所といった原稿段階はもちろんですが、イヤホンから出る自分の声を聴いて、発音、テンポ、声質などについても、とても考えさせられました。

―舞台に合わせてみて初めて気づいたことも多かったということですね。解説者の業務は、想像していた通りに進みましたか?

事前に流れは伺っていたので、依頼から初日までの運び方や、舞台稽古から初日までの慌ただしさは覚悟していた通りでした。想像と違ったのは制作部の社員さんが、担当として、作家に対する編集者のように付いて下さるということ。デビュー作ということもあると思いますが、ここまで密に打ち合わせや校正をして下さるとは思っていなかったのでとても心強く、助かりました。
第一稿の校正が返ってきたときには「私って本当にダメなやつだ…」と自己嫌悪に陥ったりもしましたが、この単語はどうなのか?この流れはお客様に親切か?と自分では気付かなかった部分を指摘して頂いて、どんどん原稿がブラッシュアップされていく中で目が開いていく、といいますか、ある種の爽快感を得られました。担当さんのことは拝みたい気持ちでいっぱいです(笑)


―修正を加えながらブラッシュアップしていった部分、例えば、どんな点でしょうか?

ご覧頂けばわかるかな、と思って初稿の段階では解説足らずな点がありました。自分が舞踊に慣れてしまっているだけに「ここは解説いらないかな、お邪魔かな」と思う部分が多く、初稿の段階では解説の入る場所、入らない場所にムラがありました。しかし担当さんとお話するうちに、副音声や実況中継ではない「イヤホンガイド」の意義とは?とヒントをたくさん頂き、方向が定まっていったように思います。

―初解説ですでにたくさんのヒントを得られたのですね。そんな気づきの詰まった今回の解説のなかで、ご自身がPRしたいところはどこですか?
 
PRというほどではありませんが…やはり自分も踊りをやっておりますので、踊りの部分の解説でしょうか。お客さまが様々な演目をご覧になる中で、あの時見た/聞いたやつだ、と振りや型が印象に残るといいな、と思いながら作りました。全体としてはとにかく中村屋さんの雰囲気に沿うように、理屈っぽく聞こえないように注意しました!

―やはり舞踊家でもある鈴木さんの「踊りの解説」は強みのひとつになりますよね。改めて、これから解説者として活動していくうえでの抱負をお願いします。

解説したお芝居自体を楽しんで頂くことはもちろんですが、「いま出てた役者さんのファンになっちゃった」と言って頂けるような解説が出来るようになったらいいな、と思っております。芝居の筋や、音楽、衣裳など決まり事はたくさんありますし、解説すべきことはこの先勉強すればするほど出てくると思いますが、「いま、この役者がこの役をやっている意味」をお客さまへ自然な形で橋渡し出来るような、解説を心掛けてゆきたいと思っております。

―なるほど。舞踊家として舞台に立つ側でもある鈴木さんならではの視点だと感じました。今後のご活躍にも期待しています!
(編集A)

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↑録音ブースで解説録音中の鈴木さん


鈴木裕里子さんの解説、開演前に歌舞伎座で放送しているものと同じものをこちらでも聴けます。↓↓↓


☆鈴木さんが解説を担当している3月歌舞伎座の公演情報はこちら↓↓↓


★歌舞伎・文楽ファンの皆さんにお勧め!解説者による連載「イヤホンガイド解説者のひろば」↓


※オーディション受賞者へのインタビュー、バックナンバー記事もどうぞ。

石塚みず絵さんの記事はこちら↓


鈴木桂一郎さんの記事はこちら↓


辻󠄀陽史さんの記事はこちら↓



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