【初心者さん向け!演目ざっくり紹介】8月歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」公演
皆様こんにちは。
皆さまの歌舞伎観劇の第一歩をサポートする「歌舞伎はじめてガイド」。
歌舞伎を観てみたいけれど、どこから情報を得れば良いのかわからない…歌舞伎の演目名がずらっと並んでいても、どんな内容なのかがわからなくて困る!・・・そんな初心者さん向けの「演目ざっくり紹介」、こちらは2023年8月歌舞伎座編です。
8月は若手花形の俳優たちが活躍する夏芝居の「納涼歌舞伎」。歌舞伎観劇初心者の方にも見やすい演目が並び、上演時間も短くて気軽な三部制(11:00~/14:15~/18:00~)となります。
さっそく、演目についてご紹介していきたいと思います。
《第一部の演目》『裸道中』『大江山酒呑童子』
まずはじめは、『裸道中』。
歌舞伎としては、はじめて上演されるこちらのお芝居。もともと歌舞伎以外の舞台で上演されてきた作品なので、歌舞伎といえば・・・でイメージするような、いわゆる「歌舞伎っぽい演出」ではなく、セリフ中心の時代劇映画のような印象のお芝居になると思います。
「清水の次郎長」といえば有名な侠客で、映画や時代劇でも描かれてきた人物です。時代劇に馴染みがない世代の方も、名前くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。今回その清水次郎長を演じるのは、坂東彌十郎さん。そして次郎長にお世話になったという主人公の夫婦は、こちらも映画やドラマでも活躍中の中村獅童さんと中村七之助さん。様式的ではなくリアルな芝居寄りの作品がこのメンバーで観られるのは楽しみです。
二つ目の演目は、『大江山酒呑童子』。
こちらは舞踊劇です。
平安時代の有名な武将・源頼光が、酒呑童子という鬼を退治したという逸話をもとに作られた作品。鬼の頭領とも言われる酒呑童子は、たくさんの伝説が残る、とても魅力的なキャラクターです。
この舞踊劇は、酒呑童子がお酒を呑んで酔っ払ったような舞いを見せるところや、後半、鬼の本性を現して豪快に舞うところなど、みどころがたくさん!酒呑童子を演じる中村勘九郎さんは舞踊の上手さにも定評がありますし、この作品は勘九郎さんのおじいさまにあたる十七代目中村勘三郎のために作られた作品なので、お家の芸でもあります。お見逃しなく!
(映画『刀剣乱舞 黎明』にも酒呑童子エピソードが盛り込まれていましたね…!新作歌舞伎『刀剣乱舞』で歌舞伎沼に一歩足を踏み入れた皆様にもこちらはおススメの演目です)
☆歌舞伎好き社員・藤之森のトークでも、『大江山酒呑童子』をおすすめしています。こちらもぜひチェックしてみてください。
《第二部の演目》『新門辰五郎』『団子売』
ひとつめの演目は、『新門辰五郎』。
1976年以来ということで、ひさしぶりの上演です。私も観たことがありませんが、作者の真山青果の他作品は歌舞伎でよく上演されています。明治から昭和にかけて活躍した劇作家なので、現代劇寄りで、セリフで聞かせるタイプのお芝居です。
新門辰五郎という人は、江戸の町火消しをしていた実在の人物。「新門」というのは苗字ではなく、浅草に新しくできた門の門番を任されたことからきた呼び名です。新門辰五郎は講談の題材にもなっていて、それだけ話題に事欠かない人物だったということかと思います。江戸から明治に変わる時代の波のなかで、男気あふれる辰五郎と、取り巻く人々がどう生きたのか・・・主人公の辰五郎を演じる松本幸四郎さんの、感情を細やかに表現するお芝居が堪能できることと思います!
そして、『団子売』。
どっしりとしたお芝居を観たあとのデザートのような、短くて楽しい踊りの演目です。団子を売り歩く夫婦ふたりの仲睦まじい様子が、踊りで表現されます。坂東巳之助さん、中村児太郎さんという、若手の俳優ふたりのカップルが軽やかに踊るのをうっとり眺めて、幸せ気分で劇場をあとにできること間違いなし!
《第三部の演目》『新・水滸伝』
第三部は、『新・水滸伝』ひと演目。
こちらは、宙乗りあり、派手なアクションあり、のエンターテインメント満載の作品です。
三代目市川猿之助(現・市川猿翁)がはじめたスーパー歌舞伎のクリエイティブチームとともに2000年代に作りあげた作品で、今回はそちらをもとにまたバージョンアップして上演される予定です。
「スーパー歌舞伎」とは銘打っていませんが、「スピーディー」で、「スペクタクル」があって、「ストーリー」もしっかり感動できる、というスーパー歌舞伎の精神もりもりな作品。ご観劇のお客様をどうやって楽しませるかをこれでもかと魅せてくれる舞台になるはず!歌舞伎を観たことがない方でも、楽しいエンタメが観たい方におすすめです。
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以上、8月歌舞伎座演目のざっくり紹介でした。
皆様の「歌舞伎はじめ」に、少しでも参考になりますように!(編集A)
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