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【初心者さん向け!演目ざっくり紹介】10月歌舞伎座「芸術祭十月大歌舞伎」公演

皆様こんにちは。
皆さまの歌舞伎観劇の第一歩をサポートする「歌舞伎はじめてガイド」。

歌舞伎を観てみたいけれど、どこから情報を得れば良いのかわからない…歌舞伎の演目名がずらっと並んでいても、どんな内容なのかがわからなくて困る!・・・そんな初心者さん向けの「演目ざっくり紹介」、こちらは10月歌舞伎座編です。

10月チラシ

10月は、初心者の皆さんにもおすすめしやすい演目が並びました!
では、さっそく演目ごとにご紹介していきたいと思います。 

《第一部の演目》『鬼揃紅葉狩』『荒川十太夫』

まずは、『鬼揃紅葉狩』。こちらは舞踊劇です。
「紅葉狩り」というのは、秋の紅葉シーズンに、紅葉の風景を肴にしてお酒を飲んだり宴をひらくこと。お花見の紅葉バージョンですね。

「紅葉狩り」にやってきたお侍様(平維茂)が、そこで綺麗なお姫様ご一行に出会って、「せっかくだからご一緒にいかがですか」となるのですが、このお姫様たちの正体はなんと・・・!というお話です。

ちなみに、正体はチラシの配役にもう「実は鬼」って書いてあるんですけど…、「ネタバレしてるから見る価値ナシ」とは思うことなかれ!『紅葉狩』という演目には、いろんな演出パターンがありまして、この『鬼揃紅葉狩』は「鬼揃い」とある通り、鬼がすんごいたくさん出てくるのが特徴です。優雅だったお姫様ご一行が全員(!)鬼の姿でずらーっと現れて迫力満点に踊り狂う場面は圧巻。めちゃくちゃテンションあがります。前半の優雅な舞いっぷりとのギャップも楽しい、個人的にもおススメ演目のひとつです。


そして2つめは『荒川十太夫』。こちらは、講談をもとにして今回新しく作られる新作歌舞伎です。
講談といえば、神田伯山さんの人気で注目が集まっている、今もっともアツい伝統芸能のひとつ。その神田伯山さんのお師匠、神田松鯉先生が披露した「荒川十太夫」が歌舞伎化されるという、話題のコラボレーションです。

内容は、主君の仇討ちを決意する四十七人の侍のお話が有名な「忠臣蔵」の、外伝(アナザーストーリー)のひとつで、四十七士のまわりの人たちにスポットをあてたお話です。演出も、普段は現代劇を上演する劇団「InnocentSphere」の西森英行さんが担当されますので、歌舞伎はじめての方にも入りやすい演出になるのではないかと予想しています。

劇場に芝居はよく観に行くけど、歌舞伎はまだ・・・という方、ぜひ、第一部にいらしてみてください。


《第二部の演目》『祇園恋づくし』『釣女』

第二部のひとつめは『祇園恋づくし』。初めて上演されたのが1997年、平成9年ですね。平成になってから作られた「新作歌舞伎」のひとつです。以来、何度か上演されています。
今年の7月にも松竹座で上演されて好評だった舞台が、主演の二人(中村鴈治郎さん、松本幸四郎さん)はそのままに、今度は東京で上演されることになりました。せっかく新作として作られたけど上演はその一度きり・・・なんてことも結構(残念ながら)あったりもしますので、何度も上演されるというのは、人気演目の証。

コメディ要素がたくさんあって楽しく観られるお芝居で、古典歌舞伎のような難しさは全くなし。初心者の方にもかなり見やすいお芝居だと思います。主演二人が、男女の役二役を早替わりで演じるのも、歌舞伎ならではの趣向なので、そこもぜひご注目ください。


ふたつめは『釣女』。こちらは、狂言をもとにして作られた舞踊仕立ての演目です。
狂言は、お能と一緒に上演されることが多いので混同されがちですが、「ややこしや~」のせりふのイメージがあるほう、あれが狂言です。ジャパニーズコメディの元祖とも言われます。ちなみに、登場人物が「ややこしや~」とか言っていても、狂言のストーリーのほうは全く「ややこし」くないものがほとんどです。

この『釣女』も単純明快なストーリー。楽しく笑えるコメディです。ストーリーは、大名が嫁探しに出て、釣り糸で釣ったお嫁さんが美人で喜ぶ…という、現代の感覚でいうと倫理的にアウトでは…?という感じのところがあるんですが、ラストには「みんなが幸せになりました」というメッセージがきちんと受け取れるようにはなっている、と思います。


《第三部の演目》『源氏物語』『盲長屋梅加賀鳶』

まずは、『源氏物語』。あの、紫式部の書いた「源氏物語」ですね。(そういえば、チラシなどに原作:紫式部 とか書かれないんですね。もはやそれは「あたりまえのこと」だから、でしょうか)

今回上演されるのは、「夕顔の巻」をもとにした場面。源氏物語を全巻読んだことがあるという方はあんまりいないかもしれませんが、六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)が登場する場面は色々な舞台などでも取り上げられることの多い場面なのでなんとなく把握しているという方も多いかもしれません。または、源氏物語の知識は漫画「あさきゆめみし」から得たという方も結構いらっしゃるかもしれません(私もです)。

清元(きよもと)という三味線音楽と、お箏の演奏で表現される今回の「源氏物語」、このバージョンは私も観たことがありませんが、歌舞伎界きっての貴公子役が似合う俳優(そして最近、人間国宝になられた!)中村梅玉さんの光源氏は素敵であることを疑う余地がありません。


そして、『盲長屋梅加賀鳶』。こちらは、江戸時代の庶民たちが登場するお芝居で、道玄という悪党が主人公です。この芝居、私が歌舞伎を観始めてすぐくらいの、まだ初心者の頃に観た芝居の中でも、「おもしろかった」という印象が残っている演目です。

江戸の庶民たちが主人公になった芝居で、固い言い回しのセリフや、聞き取りが難しい義太夫節なども出てきません。侍たちが登場するタイプの古典作品よりも、初心者がとっつきやすい演目なんです。ちょっと上演時間が長いかな…というところはあるんですが、終盤の、道玄の逃亡劇の演出がとくに秀逸なので観て欲しいです。

☆歌舞伎好き社員・藤之森のトークでは、『盲長屋梅加賀鳶』をおすすめしています。こちらではセリフに焦点をあててお話しています。ぜひチェックしてみてください。


以上、10月演目のざっくり紹介でした。
皆様の「歌舞伎はじめ」に、少しでも参考になりますように!(編集A)


★歌舞伎座の10月公演情報はこちらから↓↓↓

 

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