【初心者さん向け!演目ざっくり紹介】1月歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」公演
皆様こんにちは。
皆さまの歌舞伎観劇の第一歩をサポートする「歌舞伎はじめてガイド」。
歌舞伎を観てみたいけれど、どこから情報を得れば良いのかわからない…歌舞伎の演目名がずらっと並んでいても、どんな内容なのかがわからなくて困る!・・・そんな初心者さん向けの「演目ざっくり紹介」、こちらは2024年1月歌舞伎座編です。
お正月公演の歌舞伎座は二部制。新しい年に、歌舞伎観劇デビューしてみませんか?
昼の部/夜の部ともに、一度にたくさんの演目が観られるようになっていますが、「一演目だけでも観てみたい」という方には、【幕見席】という一幕だけ観られるシステムがおすすめです!
※幕見席については こちら
では、さっそく、演目についてご紹介していきたいと思います。
《昼の部の演目》『當辰歳歌舞伎賑』『荒川十太夫』『狐狸狐狸ばなし』
まずは、『當辰歳歌舞伎賑』。
2024年辰年の幕明け!ということで、「あたる辰年」と干支がタイトルに入っています。これ、もとからこういう名前の作品があるわけではなく、2024年1月公演用に作られたタイトルです。「五人三番叟」と「英獅子」という2つの舞踊をこのタイトルで括って、2024年の年明け最初の演目として上演しよう、ということです。
「五人三番叟」は、その名の通り「三番叟」を五人で踊るというもの。三番叟というのは、天下泰平・五穀豊穣を祈って舞うもので、祝いごとには欠かせません。2人で踊る「二人三番叟」というのはよく上演されますが、今回は5人…!(私も観たことないです)
フレッシュな若手俳優5人の躍動的な踊りで、新年早々すがすがしい気分になること間違いなし。
そして、「英獅子」のほうは、タイトルに「獅子」が入っていますが、お正月に見る縁起物のひとつには「獅子舞」もありますね。芸者と鳶頭たちが、華やかに獅子の舞を踊る一幕。こちらもお正月らしさ満載の華やかな舞踊です。
そしてふたつめは、荒川十太夫。
こちらは、昨年10月に新作歌舞伎として上演されて好評を博した作品で、今回が二度目の上演です。こんなに早く再演されるということは、いかに評判が良かったかを物語っています。
舞台機構を活かしたスピーディーな場面転換など、新鮮な演出がとても印象的でした。演出の西森さんは、InnocentSphereというご自身の劇団で長年活動されている方。主人公の荒川十太夫を演じる尾上松緑さんは、西森さんの劇団公演に客演したこともあります。そのふたりのご縁からはじまったコラボレーションが身を結んで誕生した新作歌舞伎。とても心にぐっとくる、良いお芝居です。
ちなみに、12月に上演されている『俵星玄蕃』も、同じクリエイティブチームによる作品となっています。同じ赤穂浪士の話で、時系列的にも12月~1月とお話が繋がっているという趣向です。
昼の部ラストは、『狐狸狐狸ばなし』。
もうこちらは、理屈ぬきで楽しめるお芝居。
とある夫婦のお話ですが、実は妻が不倫していて・・・というドロドロ設定です。ただドロドロ設定で重たいお話・・・ではなく、とにかくおもしろくて笑える芝居になっています。
主演する松本幸四郎さんは「ドリフ好き」としても有名(?)な、楽しいことが大好きな素顔をお持ちなので、おもしろ満載で派手にやってくれることでしょう。新年の初笑いにぜひ!
《夜の部の演目》『鶴亀』『寿曽我対面』『息子』『京鹿子娘道成寺』
夜の部、最初の演目は『鶴亀』。
タイトルがもうすでにおめでたい感たっぷり。その通り、お祝いの席に踊られる舞踊としては定番中の定番の作品です。短い一幕ですが、見るだけで一年の来福を感じることができるような一幕になると思います。ぜひ、福をもらいに歌舞伎座へ。
そして、『寿曽我対面』。
こちらもお正月に上演されることがとても多い、華やかな一幕。お正月のほかにも襲名披露公演など、おめでたい催しで「一番」と言っていいほど上演頻度の高い演目だと思います。
題材は、曽我兄弟の仇討ち。日本の三大仇討ちと呼ばれる有名な歴史上の事件ですが、この演目は、兄弟が仇討ち相手の工藤祐経と対面するというだけの一幕。ストーリーを楽しむような芝居ではなく、たくさん居並ぶ色とりどりの俳優たちを眺めて楽しむタイプの作品です。もともと、顔見世月と呼ばれる芝居の一年のはじまりの月に上演される定番の演目で、いわば役者紹介のための演目でもあったようです。格好いい立役(男性の役)から、女方、おもしろキャラまで、いろんなタイプのキャラクターに扮した俳優たちをどうぞご堪能ください。
☆歌舞伎好き社員・藤之森のトークでも、『寿曽我対面』をおすすめしています。こちらもぜひチェックしてみてください。
次が、『息子』。
上演時間は約30分と短い時間のなかで、濃密な会話のやりとりがみどころの芝居です。タイトルにこの物語のカギが隠されているんですが(観てのお楽しみということで…)。
大正になってから作られた作品なので、いわゆる歌舞伎っぽい派手な動きがあるわけではなく、現代劇を観ている感覚で入り込める作品だと思います。松本白鸚さん、松本幸四郎さん、市川染五郎さんという、親子孫三代の共演も楽しみな一幕です。
そして最後が、『京鹿子娘道成寺』。
こちらは、女方の舞踊を代表するような作品です。今回は、中村壱太郎さんと尾上右近さんという若手花形の活躍めざましいふたりが挑戦!前半後半と日程をわけて踊ります。
この作品は、女方の美しさだけでなく、日本舞踊の表現の豊かさを堪能できる、とても見応えのある舞踊です。ほとんど一人で踊るんですが、衣裳もどんどん変わり、手に持つ小道具もいろいろ出てきます。1時間くらいある長い踊りですが、全く飽きません!どちらの俳優さんバージョンもそれぞれの魅力が出ることと思います。
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以上、1月歌舞伎座演目のざっくり紹介でした。
皆様の「歌舞伎はじめ」に、少しでも参考になりますように!(編集A)
★歌舞伎座の1月公演情報はこちらから↓↓↓
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★お正月は、歌舞伎座の他にもたくさんの劇場で歌舞伎公演がございます!若手が出演する新春浅草歌舞伎や、関西では大阪松竹座の坂東玉三郎さんの公演も、初心者の皆様におすすめ!
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