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【初心者さん向け!演目ざっくり紹介】1月歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」公演

皆様こんにちは。
皆さまの歌舞伎観劇の第一歩をサポートする「歌舞伎はじめてガイド」
歌舞伎を観てみたいけれど、どこから情報を得れば良いのかわからない…歌舞伎の演目名がずらっと並んでいても、どんな内容なのかがわからなくて困る!・・・そんな初心者さん向けの「演目ざっくり紹介」、こちらは2025年1月歌舞伎座編です。

1月歌舞伎座チラシ


 
1月・・・新しい年がやってきますね。「年のはじめに芝居見物」はいかがですか?ぜひ歌舞伎座にいらしてください。
ではさっそく、上演演目を紹介していきたいと思います。


《昼の部の演目》『寿曽我対面』『陰陽師』『封印切』

まずは、『寿曽我対面』。

こちらは、「おめでたいとき」に上演される演目の定番です。ただ、内容は復讐/仇討ちがテーマで、全然おめでたくはありません。ストーリーは、「兄弟が親の仇と対面する」ただそれだけ。
ストーリーはいったん脇に置いておくと、華やかな見た目の舞台で、祝祭感あふれる作品なのです。歌舞伎に出てくる定番のキャラクターたちが並び、それを演じる個性さまざまな俳優たちが勢ぞろいします。
今回の配役には、若手俳優たちが揃い踏み。衣裳の豪華さや、化粧やかつらなど、歌舞伎らしさが詰まったビジュアルを楽しめる、まさに「年のはじめにぴったり」な演目です。

☆歌舞伎好き社員・藤之森のトークでも、『寿曽我対面』のお話しをしています。こちらもぜひチェックしてみてください。


そして、続いては『陰陽師』。

夢枕獏の原作小説をもとに作られた新作歌舞伎です。
松本幸四郎さんが安倍晴明、そして晴明の相棒である、源博雅を中村勘九郎さんが演じます。このキャストで、2013年にも歌舞伎座で上演されています。今回は、その時に上演されていなかった場面も新たに追加されます。
今回上演されるのは2つの場面。ひとつめは大百足退治。この場面は、その字の通り「大きな百足を退治する」という話ですので、たぶん、派手な立ち廻りがあります!立ち廻り(殺陣のシーン)は、歌舞伎でみどころのひとつ。ほかの演劇や映画の殺陣とは一味違う歌舞伎の様式美あふれる立ち廻りをお楽しみに。
そして、もうひとつが鉄輪。お能にもなっている「鉄輪」といえば、嫉妬で鬼になってしまう女性のお話ですが、ここに晴明のライバルの蘆屋道満が絡んでどんな事件になるのか、新作歌舞伎ならではのストーリー性もお楽しみください。


最後に上演されるのが『封印切』。

近松門左衛門。有名な心中もののひとつです。遊女が出てくる、廓のお話です。侍たちが出てくるような演目ではなく、町人が主役。お金がからんで悲劇の展開になります。
タイトルの通り「封印切」つまり、「封印を切る」場面がこのお芝居の見せ場のひとつ。たぶんこの説明だけでは、どうゆうこと!?ってなると思いますが、見たらわかります。この場面を見ると、歌舞伎って「どう自然に見せるか」ではなく「どう印象づけて見せるか」が考え抜かれた演劇だなと思います。先人たちが考えて受け継がれる演出の面白さをぜひ体感ください。


《夜の部の演目》『熊谷陣屋』『二人椀久』『大富豪同心』

まず最初は、『熊谷陣屋』。

「重厚な歌舞伎」の定番と言えばこれ、みたいな演目です。上演時間も長めですが、にもかかわらず上演頻度も高い!つまり、それだけ人気ある作品です。
源氏と平家が争っていた時代の物語で、平家物語でも語られた「敦盛の最期」の話の裏側を、「こうだったかもしれない」という視点で描かれています。フィクションではありますが、歴史の裏側を想像しながら物語を楽しめる作品です。登場するキャラクターひとりひとりの心情も丁寧に描かれていて、とても心に響く物語です。
ただ、歌舞伎を見慣れていないと、進行のテンポやせりふの難しさにちょっとついていけなくなる瞬間があるかもしれません…そんなときは是非イヤホンガイドを頼りにしてみてください。(宣伝です)

そして、『二人椀久』。

こちらは、男女の美しい踊り。
今回は、期待の若手ふたりがキャスティングされています。
椀久というのは、「わんやきゅうべえ」さんという人のことで、名前が略されて「わんきゅう」(名前を略すのって昔からあったんですね)。
もうひとりの登場人物は、その恋人(だった)、傾城・・・つまり遊女ですね。傾城は、遊女のなかでももっとも位が高い、高級遊女です。高級遊女らしく豪華で素敵な衣裳で出てきますのでそちらもご注目を。
夢か現か・・・というような幻想的な世界観をお楽しみいただけると思います。


最後が『大富豪同心』。

こちらは、今回がはじめての上演となる完全新作の歌舞伎です。
今回出演する中村隼人さんが、NHKのドラマ『大富豪同心』でも主演していましたが、今回、歌舞伎として上演されることになりました。もしかしたら、ドラマのほうにハマっていた方も多いかもしれません。そういう方はぜひこの機会に歌舞伎座にもいらしていただきたいです。やはり、知っている題材のものから入るのが歌舞伎初心者さんには入りやすい入り口です。
俳優として出演もする松本幸四郎さんが、演出にも名を連ねています。もともと歌舞伎の古典演目では、主演俳優(座頭と呼びます)が演出も兼ねた役割をしますが、アイデアマンの幸四郎さんからどんな新作歌舞伎が生み出されるのか楽しみです。

 
 
以上、1月歌舞伎座演目のざっくり紹介でした。
皆様の「歌舞伎はじめ」に、少しでも参考になりますように!(編集A)
 
 
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