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【初心者さん向け!演目ざっくり紹介】2月歌舞伎座「二月大歌舞伎」公演

皆様こんにちは。
皆さまの歌舞伎観劇の第一歩をサポートする「歌舞伎はじめてガイド」

歌舞伎を観てみたいけれど、どこから情報を得れば良いのかわからない……歌舞伎の演目名がずらっと並んでいても、どんな内容なのかがわからなくて困る!・・・そんな初心者さん向けの「演目ざっくり紹介」、2月歌舞伎座編です。

2月歌舞伎座の演目はこちら↑

 

2月はすべての部に、芝居と舞踊の演目がバランスよく並びました。
さっそくご紹介していきたいと思います。

 

《第一部の演目》『元禄忠臣蔵』『石橋』

まずは『元禄忠臣蔵』。四十七人の侍たちが、亡き主君の仇を討つという、有名な「仇討ちストーリー」が「忠臣蔵」。江戸時代の元禄年間に実際に起こった赤穂事件というできごとを元にしていますが、歌舞伎の中にはこの赤穂事件を題材にした演目がたくさんあります。その中のひとつが、今回上演される『元禄忠臣蔵』。昭和のはじめ頃に作られて、上演され続けてきた作品です。
なかでも、今回上演される「御浜御殿」と呼ばれる場面は、上演機会も多い人気の場面!綱豊卿つなとよきょうという殿様が出てきますが、この人物はのちの徳川十六代将軍・家宣いえのぶ。日本の歴史に疎い私は家宣が実際はどんな将軍だったのかあまりよく存じ上げませんが、この作品の中では、懐の深い、大変格好良い人物として描かれています。芝居の中の綱豊卿の格好良さは、おそらく万人が認める格好良さで、「上司にしたいランキング」などがあったらきっと上位にくるのではないかと…そんな人物です。
この綱豊卿のいる御浜御殿(ちなみにいまの浜離宮です)に、仇討の機会を狙う赤穂浪士のひとり、富森助右衛門が訪ねてきて、ふたりのかけひき、丁々発止の台詞のやりとりが見どころ。「歌舞伎!」というイメージよりも、時代劇に近いお芝居です。

そして、『石橋』。こちらは、舞踊の演目です。長い毛を振り回す獅子が出てくる踊りです。獅子が登場する演目は、歌舞伎のイメージとしてもポピュラーなもののひとつだと思いますが、今回のものは獅子が登場する舞踊の中でも短めの演目。
古典の舞踊作品は慣れていないと難しく感じてしまうかもしれませんので、「歌舞伎の有名な獅子の毛を振る踊りを観てみたいな~」という方には短い時間でみどころが凝縮されたこちらの『石橋』はぴったりかもしれません。

 

《第二部の演目》『春調娘七種』『義経千本桜』

まず、『春調娘七種』。こちらは舞踊の演目です。見た目の華やかさや、春の季節を描いた風情を楽しめばOK!…という演目ではありますが、踊っている登場人物たちのキャラクター設定を知っているともっと踊りの意味がわかって楽しくなるはず!ぜひイヤホンガイドを借りて同時解説でお楽しみください。
踊っている人物は、歌舞伎ではお馴染みの人気キャラクターたち。それぞれ別々の芝居に登場するキャラクターなんですが、「お客さんも喜ぶだろうし、人気キャラたちをコラボさせちゃおう!」ということで、同じ作品に登場させてしまったという趣向です。歌舞伎って「なんでもあり」のおおらかさを感じます。「七種(ななくさ)」というのは「七草がゆ」の「ななくさ」で、季節がちょっとずれてる…?とお感じになってもぜひおおらかにご覧ください。

舞踊の後は、重厚な古典のお芝居『義経千本桜』。歌舞伎三大名作のひとつ『義経千本桜』の中の「渡海屋・大物浦」という場面です。
演目タイトルのそばに「片岡仁左衛門一世一代にて相勤め申し候」とあります。この芝居の主役・平知盛の役を当たり役にしてきた片岡仁左衛門さんが、この役を演じるのは今回がラストです!という意味。源氏と平家の戦いの物語で、壮絶な最期を遂げる知盛…演じるのは相当な体力が必要なお役と想像できます。
「今月、観ておくべきものは何ですか?ひとつだけ選んでください」と聞かれたらやはり「これです!」と答えるしかないと思いますね…… 観られる方はぜひ仁左衛門さんの素晴らしい「知盛役」、目に焼き付けてください。
というわけで、歌舞伎好き社員・藤之森のトークでも『義経千本桜』をご紹介しています!ご参考にどうぞ。


 

《第三部の演目》『鬼次拍子舞』『鼠小僧次郎吉』

まずは舞踊『鬼次拍子舞』。平家の武将キャラと、美しい女性キャラのふたりが、キーアイテムの「笛」を奪い合うというお話を舞踊で見せる演目です。
見どころのひとつが、タイトルにもなっている「拍子舞」で、踊る人が拍子をとって歌いながら踊る舞のことです。ちなみにタイトルに「鬼次」とあるので「鬼」が出てくる演目なのかと思いきや、「鬼次」は初演した俳優の名前!あの有名な写楽の浮世絵に描かれている歌舞伎俳優・三代目大谷鬼次おおたにおにじです。

東洲斎写楽「三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛」
※ここに描かれているのは『恋女房染分手綱』という別の演目の役なので、今回の演目にこの役が出てくるわけではありません


そして、『鼠小僧次郎吉』…こちらは、ストーリーをじっくり味わいたい方向けにおススメのお芝居です。
鼠小僧といえば、大きなお屋敷に盗みに入っては、貧しい人たちに金を分け与えたという伝説が残る人物。江戸時代からの人気キャラクター鼠小僧は、色々なお芝居や講談のモデルになってきました。
今回上演されるのは、河竹黙阿弥かわたけもくあみという江戸後期から明治にかけて活躍した有名な歌舞伎作者が書いたバージョン。この黙阿弥さんは、盗賊を題材にした歌舞伎作品をたくさん残していますが、盗賊になった経緯や、登場人物たちの事情や生い立ちまで複雑な人間関係もドラマとして描いています。今回は、鼠小僧と彼に出会う人々にまつわるストーリーで「義理と人情」がテーマということで、ぐっとくる人間ドラマが観たいという方、どうぞご期待ください。

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以上、2月歌舞伎座の演目ざっくり紹介でした。
皆様の「歌舞伎はじめ」に、少しでも参考になりますように!(編集A)

 


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