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【初心者さん向け!演目ざっくり紹介】5月歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」公演

皆様こんにちは。
皆さまの歌舞伎観劇の第一歩をサポートする「歌舞伎はじめてガイド」

歌舞伎を観てみたいけれど、どこから情報を得れば良いのかわからない…歌舞伎の演目名がずらっと並んでいても、どんな内容なのかがわからなくて困る!・・・そんな初心者さん向けの「演目ざっくり紹介」、こちらは2023年5月歌舞伎座編です。

5月歌舞伎座チラシ

5月の歌舞伎座は「團菊祭」と公演名についていますが、これは、明治時代に活躍した九代目市川團十郎と五代目尾上菊五郎という名優ふたりを称えましょうという趣旨の興行ですよ、という意味です。名前の頭文字をひとつずつとって「團菊」。いまの歌舞伎の形の基礎を作ったのはこの二人、と言われるほどの名優たちです。
ということで、ふたりを称えて、市川團十郎家、尾上菊五郎家ゆかりの俳優たちが揃って出演します。

ではさっそく、5月の演目についてご紹介していきたいと思います。

 

※5月は、昼の部(11:00~)/夜の部(16:00~)の2部制です。

 

《昼の部の演目》『寿曽我対面』『若き日の信長』『音菊眞秀若武者』

まずは、『寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)
タイトルに「寿」とありますが、おめでたい公演によく上演される演目です。「日本三大仇討ち」のひとつ、曽我兄弟の仇討ちを題材にした作品ですが、ストーリーは「父親を殺された兄弟が、敵の家に会いにやってきて対面する」…以上!です。
物語を楽しむというより、個性豊かなキャラと俳優を楽しむ演目で、「歌舞伎のキャラクター図鑑」と言われたりもします。歌舞伎らしい豪華な衣裳をまとった美女や、謎の扮装や化粧をした面白キャラたち・・・そして、曽我兄弟の弟・曽我五郎の「ザ・歌舞伎」といった豪快な演技!色とりどりの表現をお楽しみください。


次は『若き日の信長』
戦国武将・織田信長の若い頃を、市川團十郎さんが演じます。團十郎さんはこれまでにテレビドラマなどでも何度か信長を演じています。「信長が似合う俳優」のうちの一人ではないでしょうか。ただ、この作品の信長は一般的にイメージされる「カリスマ武将」的な信長とはちょっと違う、青年時代の悩める信長です。昭和になってから書かれた作品なので、セリフも聞き取りやすく、ドラマの時代劇のような感覚で観られる作品です。


そして、『音菊眞秀若武者(おとにきくまことのわかむしゃ)
こちらは、尾上菊五郎さん(人間国宝!)のお孫さん、寺嶋眞秀さんが、初代尾上眞秀を名乗ってめでたく初舞台の披露をする演目。今回、初舞台のお祝いのために新たに作られる特別な作品です。
眞秀さんはこれまでも本名で何度か歌舞伎の舞台に立っていますが、歌舞伎の名前を名乗って舞台に立つのは初めて、ということで「初舞台」とあらわします。眞秀さんのお母様は菊五郎さんの長女で、才能あふれる女優の寺島しのぶさん。名優の血をひく眞秀さんは、現在放送中の大河ドラマ『どうする家康』にも出演中!早くも俳優としての才能を開花させつつあります。そんな眞秀さんの初舞台、歌舞伎俳優としての第一歩、見逃せません!


《夜の部の演目》『宮島のだんまり』『達陀』『梅雨小袖昔八丈 髪結新三』

まずは、『宮島のだんまり』
歌舞伎には「だんまり」という演出手法がありまして、暗がりの中で登場人物たちが何らかのお宝を手探りで奪い合う…というのがお決まりのシチュエーションです。暗がりでの探り合いなので、ゆーっくりとしたスローモーションのような動きで、時々、歌舞伎独特の見得のポーズで決まったりします。歌舞伎俳優がポーズを決める美しさや、様式化されたひとつひとつの動きは歌舞伎ならでは。
役名に「傾城浮舟太夫実は盗賊袈裟太郎」とありますが、これは美しい遊女だと思いきや実は盗賊だった!というびっくり展開のネタバレですね…でもこれは歌舞伎のお決まりの演出なので、ネタバレという概念がありません歌舞伎らしい演出をぎゅぎゅっと凝縮したような一幕です。


そして、『達陀(だったん)
こちらは、奈良の東大寺二月堂で毎年3月におこなわれる修二会の儀式を題材に作られた舞踊劇です。後半の群舞が圧巻で、一度観たら忘れないインパクトと、儀式性を感じる独特の雰囲気に圧倒されます。いわゆる「日本舞踊」といってイメージする踊りではありません。そんなに頻繁に上演されない演目なのでこの機会にぜひ。


ラストが、『梅雨小袖昔八丈 髪結新三(つゆこそでむかしはちじょう かみゆいしんざ)
こちらは、江戸時代の庶民たちの暮らしぶりが見えるようなお芝居。主人公は、「髪結い」つまり床屋をやってる「新三(しんざ)」という名前の男。床屋の道具を扱う様子なんかも出てきて、当時の風情を感じられるのもおもしろいです。
新三はけっこうな悪事もはたらく悪いやつなんですが、さらに強欲そうな大家さんが出てきて、ひと騒動もふた騒動もある喜劇です。
作者の河竹黙阿弥は歌舞伎の人気作品をたくさん作った人ですが、悪党たちが主役の芝居をたくさん生み出しています。アウトローな魅力が人気だったようです。悪いのになんだか粋で格好よく見えてしまう新三、観たらはまってしまうかも?

☆歌舞伎好き社員・藤之森のトークでも、『髪結新三』をおすすめしています。こちらもチェックしてください。

 

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以上、5月演目のざっくり紹介でした。
皆様の「歌舞伎はじめ」に、少しでも参考になりますように!(編集A)



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