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【初心者さん向け!演目ざっくり紹介】2月歌舞伎座「猿若祭二月大歌舞伎」公演

皆様こんにちは。
皆さまの歌舞伎観劇の第一歩をサポートする「歌舞伎はじめてガイド」
歌舞伎を観てみたいけれど、どこから情報を得れば良いのかわからない・・・歌舞伎の演目名がずらっと並んでいても、どんな内容なのかがわからなくて困る!
・・・そんな初心者さん向けの「演目ざっくり紹介」、こちらは2025年2月歌舞伎座編です。


 
2月は興行のタイトルに「猿若祭二月大歌舞伎」とあります。「猿若」というのは聞き慣れないかもしれませんが、猿若勘三郎を名乗って活躍した江戸時代の人気役者が、初代中村勘三郎です。勘三郎の名前はこれまで18代目まで受け継がれています。今回は、中村勘三郎家にゆかりのある俳優たちが揃って出演する注目の公演です。
ではさっそく、上演演目を紹介していきたいと思います。


《昼の部の演目》『鞘當』『醍醐の花見』『きらら浮世伝』

まずは、『鞘當』。

こちらは、約20分くらいの短い一幕です。ただ、この短い中に歌舞伎の格好良さがたくさん詰まっています!
「恋の鞘当」ということばがありますが、まさに、こちらの演目がその恋の鞘当てを見せる演目。つまり、ある女性をめぐる、男と男の対決!です。
対決するのは、まずは不破伴左衛門。坂東巳之助さんが演じます。線の太い、荒々しい感じの武士です。そして、もうひとりは、名古屋山三。中村隼人さんが演じます。こちらは、線が細い、いわゆる美青年タイプ。それぞれ違う魅力があります。それぞれのキャラに似合う素敵な衣裳も見ものです。とにかく格好良さを堪能してください。


そして次が、『醍醐の花見』。

こちらは舞踊です。日本人なら(日本人じゃなくてもですね)誰もが好きな、桜を愛でるお花見。花見の宴を催しているのは、豊臣秀吉ご一行です。さすが、天下人となった秀吉さんのお花見は豪華も豪華
宴の席といえば、誰かが舞を披露するのがお約束です。秀吉さんの花見の席でも、皆が順番に舞いを披露して余興に華を添えます。幸せで雅やかな世界をお楽しみください。
出演俳優はベテランから若手まで幅広い世代が揃って、いろんな個性の踊りが楽しめそうです。最年少は、豊臣秀頼を演じる中村秀乃介さん、6歳!どんな舞を披露してくれるのか、楽しみです。


昼の部の最後は、『きらら浮世伝』。

ラストに大物です。こちらは、今回はじめて歌舞伎座で上演される新作のお芝居です。
脚本と演出は横内謙介さん。演劇好きな方にはお馴染みですが、劇団扉座を主宰する劇作家で、歌舞伎では、スーパー歌舞伎の演目の脚本なども多数担当しています。その横内さんが二十六歳の時に書いた戯曲がこの『きらら浮世伝』で、当時の上演で主人公を演じたのが、当時の中村勘九郎さん(十八代目の中村勘三郎さん)。今回はその息子さんの当代の勘九郎さんが主人公の蔦屋重三郎役を演じます。
蔦屋重三郎といえば、現在放映中のNHK大河ドラマ「べらぼう」の主人公としても話題の人物。こちらの作品では「蔦重」がどんな風に描かれているのか、大河ドラマと合わせても楽しめそうです。ちなみに、大河ドラマのほうでちょっとおもしろキャラな長谷川平蔵を演じている中村隼人さんも出演します(長谷川平蔵役ではないですが!)。


《夜の部の演目》『壇浦兜軍記』『江島生島』『人情噺文七元結』

夜の部はまず、『壇浦兜軍記』から、通称「阿古屋」と呼ばれている場面です。

こちらは、色んな条件がそろわないとなかなか上演されない、貴重な演目で、歌舞伎ファンの中でも人気の作品です。
この作品、ほかと違って珍しいのが、劇中で、主演の俳優さんが楽器を演奏する場面があることです。お箏、三味線、胡弓・・・と、難しい楽器を弾きながら演技するというとても難しい役です。楽器を弾きながら歌ったりもします。主人公の阿古屋が本心を隠しながら演奏する場面は、みどころ・聞きどころです。
今回も、「阿古屋といえばこの人」・・・という、人間国宝の女方、坂東玉三郎さんが演じます。上演されるたびに絶賛を得てきた舞台をどうぞお見逃しなく!


そして、『江島生島』。

こちらは、舞踊の作品です。江戸時代に実際にあった事件を題材にした舞踊劇です。
事件というのは、江戸城大奥の女中・江島と、歌舞伎役者の生島新五郎のスキャンダルのことで、実際のところスキャンダルが本当かどうかはわかっていませんが、この作品の中では、ふたりは愛し合っていたという設定です。
この舞踊では、禁断の恋の末に、江島と離れ離れになってしまった生島新五郎が、江島の面影を求めて幻影を見る・・・というなんとも切なく、儚い世界観が繰り広げられます。歌舞伎界きっての美男美女コンビ、尾上菊之助さんと中村七之助さんのおふたりが繰り広げる美の世界にぜひ浸りにきてください。

☆歌舞伎好き社員・藤之森のトークでは、『江島生島』のお話しをしています。こちらもぜひチェックしてみてください。


そして最後が『人情噺文七元結』。

こちらは、これまで何度も上演されてきた人気のお芝居です。いわゆる歌舞伎といってイメージするような抑揚のついたセリフではなく、時代劇のような現代語に近いセリフで進みます。はじめての方にもとても見やすい演目です。
江戸に生きる庶民たちの生活感がとても伝わってくるような舞台で、歌舞伎俳優たちの身体を通して江戸時代が身近に感じられるのも面白いです。歌舞伎俳優さんたちも我々と同じ現代人なはずなのに、所作や立ち振る舞いが自然と江戸の人になれるんですよね・・・。
内容は、もとは落語の人情噺として語られていたものなので、最後は人情ってあたたかいなとほっこりした気持ちになって帰れます。

 
 
以上、2月歌舞伎座演目のざっくり紹介でした。
皆様の「歌舞伎はじめ」に、少しでも参考になりますように!(編集A)
 
 
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