【初心者さん向け!演目ざっくり紹介】7月歌舞伎座「七月大歌舞伎」公演
皆様こんにちは。
皆さまの歌舞伎観劇の第一歩をサポートする「歌舞伎はじめてガイド」。
歌舞伎を観てみたいけれど、どこから情報を得れば良いのかわからない…歌舞伎の演目名がずらっと並んでいても、どんな内容なのかがわからなくて困る!・・・そんな初心者さん向けの「演目ざっくり紹介」、こちらは2023年7月歌舞伎座編です。
「ちょっと歌舞伎を観てみようかな」という方にはうってつけの【一幕見席(*1)】という一幕だけを観劇できるシステムも再開した歌舞伎座。7月は個性的な演目ぞろいです。
ではさっそく、演目についてご紹介していきたいと思います。
*1:歌舞伎座【一幕見席】の情報はこちら
※7月も、昼の部(11:00~)/夜の部(16:00~)の2部制です。
《昼の部の演目》『菊宴月白浪』
歌舞伎では、いくつかの演目を上演するスタイルなことが多いですが(夜の部はそのスタイル)、昼の部は「通し狂言」といって、ひとつの演目を最初から通して上演する形になります。
今回、通し上演される『菊宴月白浪』というお芝居は、1991年以来ひさしぶりの上演。歌舞伎でもお馴染みの「忠臣蔵」といえば、四十七人の侍たちが主君の仇討を成功させたという江戸時代に実際に起こった事件をもとにした物語ですが、今回の『菊宴月白浪』も「忠臣蔵」のお話です。ただし、今回の主役は仇討を成功させた侍たちではありません。「忠臣蔵」の中では悪役として描かれている斧定九郎という人物が主役です。そして、「忠臣蔵後日譚」と副題にあるように、仇討ちの討ち入りの後の物語です。
斧定九郎は、三大名作と呼ばれる歌舞伎の名作のひとつ『仮名手本忠臣蔵』だと一場面に登場するのみ、セリフもたった一言のみ、という役ですが、江戸時代の名優・中村仲蔵が演技を工夫したことによって、強いインパクトを残すキャラクターになりました(中村仲蔵の話は、講談や最近のNHKドラマにもなったのでご存じのかたもいるかも?)。その定九郎を主役にして、江戸後期の大人気作家・鶴屋南北が書いた後日談。・・・おもしろそう。・・・いや実は、ひさしぶりの上演のため、私も実際には観たことがないんです。でも歌舞伎観劇歴がもっと長い観劇マスターの先輩方が「これはおもしろい作品だ」と言っていたのできっと間違いなくおもしろいです。
エンターテインメント性あふれる作品をたくさん生み出してきた三代目市川猿之助さんが選んだ「三代猿之助四十八撰」という作品群の中のひとつでもあり、初心者の皆さんも置いて行かないお芝居になるはず。宙乗りなどの派手な演出もどうぞお楽しみに。
《夜の部の演目》『神霊矢口渡』『神明恵和合取組』『鎌倉八幡宮静の法楽舞』
夜の部は、まず『神霊矢口渡』。
歌舞伎の演目は、男性キャラクターが主役のものが多いのですが、この作品は娘のお舟が主役。恋する乙女のお舟ちゃんが、愛する人のために奮闘します。父親の頓兵衛の強欲な悪人っぷりも注目ポイント。見た目からして憎々しさがパッとわかるような、迫力あるキャラクターです。歌舞伎ならではの豪快な演技も堪能できます。
ちなみに、作者の福内鬼外(ふくうちきがい)というのは、社会の教科書などにも登場する平賀源内のペンネームです。「福は内、鬼は外・・・」しゃれたペンネームです。
2つめは『神明恵和合取組』。
通称「め組の喧嘩」と呼ばれています。
「火事と喧嘩は江戸の華」と言われていた江戸時代の、町人たちの暮らしが垣間見えるようなお芝居です。
主人公の辰五郎は、火事が起こった時に召集される“町火消”のグループ「め組」のリーダー。町火消たちが火事のときに颯爽と火消しをおこなう姿は格好良い!と江戸時代で大人気だったそうです。そして江戸で人気を誇った男たちといえば、もうひとつ、相撲の力士たち。この作品では、江戸時代に人気を二分した町火消のグループとお相撲さんたちのグループが大乱闘の喧嘩を繰り広げるお話。舞台上の喧嘩は、歌舞伎の「立ち廻り」という演出で表現されますが、趣向を凝らした「見せる喧嘩」といったエンタメになっています。初心者の方もおもしろく観られる演目です。
☆歌舞伎好き社員・藤之森のトークでも、『神明恵和合取組 め組の喧嘩』をおススメしています!
最後に、『鎌倉八幡宮静の法楽舞』。
こちらは、タイトルに「舞」とついている通り、舞踊劇です。市川團十郎さんが、7種類の役を踊り分けるという楽しみな一幕。さらに、今回は、團十郎さんの娘さん(市川ぼたんさん)と息子さん(市川新之助さん)も出演し、それぞれ2役もやるというのも楽しみなところです。
それから、この作品は音楽にも注目してほしいのですが、なんと5種類もの三味線音楽が出てきます。河東節、常磐津、清元、竹本、長唄という5種類の音楽で、それぞれに音色や演奏法、そして語りや歌の雰囲気も異なります。歌舞伎で使われる音楽が一堂に会した、というような豪華な状況。この作品ですべてが聞けるんです。ぜひ、5種類の音楽の競演に耳を傾けてお楽しみください。
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以上、7月歌舞伎座演目のざっくり紹介でした。
皆様の「歌舞伎はじめ」に、少しでも参考になりますように!(編集A)
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