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【初心者さん向け!演目ざっくり紹介】7月歌舞伎座「七月大歌舞伎」公演

皆様こんにちは。
皆さまの歌舞伎観劇の第一歩をサポートする「歌舞伎はじめてガイド」

歌舞伎を観てみたいけれど、どこから情報を得れば良いのかわからない…歌舞伎の演目名がずらっと並んでいても、どんな内容なのかがわからなくて困る!・・・そんな初心者さん向けの「演目ざっくり紹介」、こちらは2024年7月歌舞伎座編です。

7月歌舞伎座チラシ

7月は、めずらしく昼の部も夜の部も、どちらも「通し狂言」というスタイルで上演されます。「通し狂言」とは、「ひとつの演目を通して上演します」という意味。「そんなの当たり前では・・・?」と思われそうですが、歌舞伎だとそうでもないんです。歌舞伎でむしろ多いのは「人気の場面だけ上演する」というスタイル。人気の場面だけの上演では、前後のストーリーがわからないので、初心者にはちょっととっつきづらく感じるかもしれません。そういう意味で、「通し狂言」はストーリーもわかりやすくなるのでおすすめです!

ではさっそく、7月の演目についてご紹介していきたいと思います。


《昼の部の演目》通し狂言『星合世十三團』

歌舞伎の演目の中でもとくに有名な作品のひとつに『義経千本桜』という作品があります。こちらの『星合世十三團』は、その名作をアレンジして作られた演目です。
『義経千本桜』は、全部を上演すると10時間以上かかるような長い作品ですが、『星合十三團』は、義経千本桜の最初から最後までほぼ全部の場面を5時間くらいにまとめてあります。そのため、展開がとってもスピーディー(早すぎるほど早い部分もあります)。いわば『義経千本桜』の良いとこどりダイジェスト!みたいな作品になっています。

さらに、主要な役のうちの十三役を、市川團十郎さんが早替わりで演じます。早替わりというのは歌舞伎の演出のひとつで、目にも止まらぬ早さで複数の役を演じ分けます。衣裳もかつらもお化粧も本当に短い時間(数秒!)で変わります。もはやイリュージョンなのかな?と思うほど。でももちろんアナログな手法でやっています。どうやったら早替わりでお客さんを驚かせられるか、江戸時代から続く先人たちの知恵とエンタメサービス精神が垣間見えます。ぜひご注目ください。

あと、察しの良い方はお気付きだと思いますが、タイトルの「十三團」・・・十三は13のキャラクター、「團」は團十郎ですね。洒落っ気たっぷりなタイトルです。2019年に初演されたときは、いまの團十郎さんは海老蔵を名乗っていましたので、満を持して、「團十郎」として初めての上演になります。

見どころのひとつとして、歌舞伎の派手な演出、客席の上空を俳優が飛ぶ、宙乗り演出もあります。舞台から3階席のほうに向かっていくので、「宙乗りしてくる團十郎さんをお迎えできる席」=3階席もおすすめです。

 

《夜の部の演目》通し狂言『裏表太閤記』

こちらは、43年ぶりの上演ということで、私も観たことがありません。観たことがないなりに、おもしろそうなポイントをご紹介してみます。

まず、「太閤記」なので、豊臣秀吉がどうやって天下をとるまでに至るのかを描いた物語ということになりますね。
「表裏」とはどういうこと・・・?と思ったら、表である豊臣秀吉の活躍ぶりのほかに、その裏となるライバルたち(明智光秀とか)の姿も描かれる作品とのこと。なるほどです。おもしろそう。

登場人物をチェックすると、秀吉、光秀のほかにも、織田信長や徳川家康など、歴史に名を残してきた大物たちの名前があります。有名な本能寺の変とか歴史的なできごとがどう描かれるのか楽しみですし、歴史ファンの方にもおすすめしがいのある作品になりそうな・・・いや、ちょっと待ってください?歴史上の人物に交じって、孫悟空とか猪八戒とか沙悟浄とか「西遊記」でお馴染みの面々の名前も書いてありますが・・・太閤記と西遊記がどうつながるのか?なんだかおもしろい趣向がありそうですね?

そして、こちらも宙乗りの演出がありますし、そのほかにも歌舞伎らしい派手な演出がたくさん出てくる演目になるようです。なかでもチラシの情報で気になるのは、「大津坂本大滝の場」という場面があること。「大滝」が舞台ということは、もしかしたら舞台上に大きな滝の装置が出現するかもしれません。歌舞伎演出のひとつに「本水(ほんみず)」という「本物の水を使った演出」がありまして、夏にぴったりな本水での派手な立ち廻りも見られるのでは?(期待)


☆歌舞伎好き社員・藤之森のトークでは、「夏の芝居」についてお話ししています。こちらもぜひチェックしてみてください。


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以上、7月歌舞伎座演目のざっくり紹介でした。皆様の「歌舞伎はじめ」に、少しでも参考になりますように!(編集A)

 


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