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【初心者さん向け!演目ざっくり紹介】10月歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」公演

皆様こんにちは。
皆さまの歌舞伎観劇の第一歩をサポートする「歌舞伎はじめてガイド」

歌舞伎を観てみたいけれど、どこから情報を得れば良いのかわからない…歌舞伎の演目名がずらっと並んでいても、どんな内容なのかがわからなくて困る!・・・そんな初心者さん向けの「演目ざっくり紹介」、こちらは2023年10月歌舞伎座編です。

10月歌舞伎座チラシ

 

10月の歌舞伎座も、二部制(昼の部11:00~/夜の部16:30~)で、
昼の部・夜の部ともに、個性的な演目が上演される楽しみなラインアップです。

では、さっそく、演目についてご紹介していきたいと思います。


《昼の部の演目》『天竺徳兵衛韓噺』『文七元結物語』

昼の部まずはじめの演目は、『天竺徳兵衛韓噺』。

主人公は、タイトルに名前が入っている「天竺徳兵衛(てんじくとくべえ)」。「天竺から帰ってきた徳兵衛さん」という意味です。江戸時代に外国にわたって貿易をしていた実在の商人をモデルにしているそうで、天竺というのは異国の地の名前。天竺=インドのことをさすことが多いですが、徳兵衛がわたった国というのはインドではなくタイだそうです。
外国の様子はどうだったか、徳兵衛が偉い人の前で見てきたものや聞いてきたことを報告する場面があるので、「いこくばなし」というタイトルがついています。

とはいっても、セリフが中心の芝居というわけではなく、見た目にも楽しい作品。芝居の中の徳兵衛は、ただの商人(船頭)ではなく、がまの妖術を使えるという設定で、その妖術を使って大暴れします。さすが江戸時代の人気歌舞伎作者・鶴屋南北の作品だなと思わせる、奇想天外な発想が楽しい人気のお芝居です。

そしてふたつめは、『文七元結物語』。

こちらは、落語の人情噺(にんじょうばなし)を元にしたお芝居です。
『人情噺文七元結』というタイトルで、歌舞伎でもよく上演されるお芝居ですが、今回は日本映画界の巨匠・山田洋次監督が新たに脚本や演出を練り直して上演されるので、タイトルも『文七元結物語』と別のタイトルになっています。山田洋次さんは、以前にも歌舞伎の『文七元結』に関わっていて、台本を練り直す補綴を担当されていました。そのときは、いまは亡き十八代目の中村勘三郎さんが出演していて、山田監督の手でシネマ歌舞伎(映画)化もされています。

今回は女優の寺島しのぶさんが出演するということもニュースになった話題作です。中村獅童さんと寺島しのぶさんの夫婦役のやりとりも楽しみです。「男はつらいよ」をはじめとした人情味あふれる映画作品に定評のある山田洋次監督との相性もきっとぴったりなのではないかと思います。


☆歌舞伎好き社員・藤之森のトークでも、『文七元結物語』をおすすめしています。こちらもぜひチェックしてみてください。


 

《夜の部の演目》『双蝶々曲輪日記 角力場』『菊』『水戸黄門』

夜の部は、まず『双蝶々曲輪日記 角力場(すもうば)』。

その名の通り、「おすもうさん(力士)」が出てきます。江戸時代、相撲は大人気エンタメで、力士の熱狂的ファンや、莫大なお金を出して支援するスポンサー的な人たちもいました。ふたりの力士のスポンサーが女性をめぐって対立関係にあって、そこに力士同士の対決も絡みます。短い場面ですが、登場するキャラクターにも個性があり、人気があってよく上演される定番演目です。


次が、『菊』。

こちらは舞踊の演目です。歌舞伎で上演されるのはそんなに多くありません。菊の精たちが少女や若い娘の様子を踊っていく・・・ということですが、女方の舞踊で花の精は出てくる作品は結構あります。藤の精、桜の精など、美しい花に美しい娘の姿を重ねて表現されます。

この『菊』という演目は、女方の俳優さんおひとりで踊る場合もあるようですが、今回は配役に六人の菊の精の名前が並んでいます。普段、立役をされている俳優さんのお名前もあるので、菊の精の男女ペアの踊りなどもある振付バージョンのようです。菊の精たちの美しい舞姿が堪能できる演目!うっとりと眺めましょう。


そしてラストが『水戸黄門』。

え?あの水戸黄門が歌舞伎になるの?!と驚いた方も多いのでは。私も驚きました。「水戸黄門」といえば、時代劇ドラマの印象が強いですよね。でもドラマ以前に、江戸時代から講談などでも「水戸黄門」のお話は人気だったそうです。

今回、黄門様=水戸光圀公を演じるのは、いまやテレビドラマでも大活躍の坂東彌十郎さん。懐の深い黄門様のイメージ、とても想像がつきます。はまり役になりそうな予感・・・!

あと、水戸黄門の時代劇ドラマのほうで人気のキャラといえば、お供の助さん格さんコンビですが、今回、演じるのは中村福之助さん歌之助さんという若手俳優おふたり。中村芝翫さんのご子息で、兄弟です。兄弟といってもキャラクターが全然違うおふたりなので、助さんと格さんの違いも楽しみです。歌舞伎版の『水戸黄門』ぜひご注目ください。

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以上、10月歌舞伎座演目のざっくり紹介でした。
皆様の「歌舞伎はじめ」に、少しでも参考になりますように!(編集A) 


★歌舞伎座の10月公演情報はこちらから↓↓↓

 

 

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