【初心者さん向け!演目ざっくり紹介】5月歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」公演
皆様こんにちは。
皆さまの歌舞伎観劇の第一歩をサポートする「歌舞伎はじめてガイド」。
歌舞伎を観てみたいけれど、どこから情報を得れば良いのかわからない…歌舞伎の演目名がずらっと並んでいても、どんな内容なのかがわからなくて困る!・・・そんな初心者さん向けの「演目ざっくり紹介」、こちらは5月歌舞伎座編です。
では、さっそくご紹介していきたいと思います。
《第一部の演目》『祇園祭礼信仰記』『あやめ浴衣』
『祇園祭礼信仰記』は、今回上演される場面の舞台が金閣寺なので、そのまま「金閣寺」という通称で呼ばれているお芝居です。
ひとくちに歌舞伎の芝居といっても、テンポのよい会話が続く現代劇に近いもの、コメディー色の強いもの、見た目の派手なもの…と、色々なジャンルのものがありますが、こちらの「金閣寺」は、時代物とよばれる、歌舞伎の型がぎっしりつまったかっちり目のジャンル、重厚な古典の名作のひとつです。
舞台は戦国時代。松永大膳という、天下を狙う大悪人が出てきます。松永久秀がモデルの人物です。(大河ドラマ『麒麟がくる』では、吉田鋼太郎さんが演じてましたね!)
歴史にあんまり詳しくないし、重厚な芝居ってむずかしそう・・・と思うかもしれませんし、ここであらすじを書くとたぶん余計にややこしくなるんですが、この芝居を初心者のみなさんにもおすすめしたいポイントは、ズバリ「視覚的な面白さ」。
まずひとつめのポイントは「降りしきる大量の桜吹雪」。大悪人の松永大膳に捉えられた雪姫というお姫様が、桜吹雪のなかにたたずむ姿は、絵画的な美しさ。これは一度、観てみて欲しいです。
そして、「大掛かりな大道具の仕掛け」。きらきらした金閣寺の舞台がそのまま上下に動きます!
そのほかにも、小道具のおもしろい仕掛けがいくつも出てきたりします。(あらすじや細かいところは、イヤホンガイドで・・・!)
もうひとつの演目は、『あやめ浴衣』。こちらは舞踊ですね。
芸者、船頭、あやめ売りなどが出てきて、新緑の季節から初夏の風情がぱっと華やかに舞台上に現れます。あまり何も考えずに、歌舞伎俳優の身体と美術、音楽のコラボで織りなす舞台をご堪能ください。
芸術やアートに興味のある方、お好きな方には、歌舞伎の芸術センスの高さがうかがえる第一部をおすすめしたいです。
《第二部の演目》『暫』『土蜘』
『暫』は、まさに”ザ・歌舞伎”な演目です。
東京オリンピックの開会式で海老蔵さんが重そうな衣裳と鬘をつけて迫力満点に登場したのは、ご覧になった方も多いと思いますが、あれはこの『暫』の演目のものになります。オリンピックという大舞台で「歌舞伎といえば・・・」と選ばれるくらいの演目ですから、「一度、歌舞伎というものを観てみよう!」という方にはまさにうってつけの演目!
スターの華と迫力のある海老蔵さんの芸、ぜひ一度、生でご覧ください。
二つ目の『土蜘』は、ガラっと雰囲気が変わります。お能の演目『土蜘』を歌舞伎風にアレンジしたもので、能舞台のような舞台美術で進行する舞踊劇です。
お能のように、はじめは静かにはじまって、クライマックスでは段々激しく・・・土蜘蛛の精が本性をあらわして戦う立ちまわりになります。お能をもとにした歌舞伎演目では、前半と後半の対比もみどころのひとつ。同じ俳優が、前半と後半で、化粧や衣裳を変えて演じます。
主演の尾上菊之助さんといえば、先日まで放送されていた朝ドラ「カムカムエヴリバディ」のモモケン役も素敵でしたね~!モモケンとはまた違った舞台姿も素敵ですので、モモケンで菊之助さんファンになった皆さんにもおすすめです!
☆歌舞伎好き社員・藤之森のトークでは、第二部をおすすめしています!こちらもぜひお聴きください!
《第三部の演目》『市原野のだんまり』『弁天娘女男白浪』
『市原野のだんまり』は、この場面だけの上演だけだと、あまり物語の筋はないタイプの演目です。
「だんまり」というのは、歌舞伎の演出のひとつで、暗闇のなかで手探り状態で登場人物たちが動く様子を見せるもの。物語の中の一場面として、主要な登場人物が一堂に会して、キーアイテムを暗闇の中で奪い合う・・・というのがお決まりになっています。説明だけだとなにがなにやらわからないと思いますが、歌舞伎ならではの古風な演出は、一見の価値あり。逆にいま見ると新鮮に映ります。
ふたつめの『弁天娘女男白浪』は、頻繁に上演される人気演目のひとつです。「知らざあ言ってきかせやしょう」という主人公の名セリフが有名です。このセリフは、悪事を働く主人公の弁天小僧が、ひらきなおって自己紹介するときのセリフ。歌舞伎らしい七五調で威勢よくセリフを決める姿には、歌舞伎のカッコよさを感じられます!
今回弁天小僧を演じるのは、最近テレビ番組や映画など多方面でも活躍中の若手俳優・尾上右近さん。物語もそんなに複雑でないので、右近さんと同世代の若者の皆さんにも、わかりやすく楽しんでもらえる演目でおすすめ!
以上、5月演目のざっくり紹介でした。
皆様の「歌舞伎はじめ」に、少しでも参考になりますように!(編集A)
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