コロナ世代のイヤホンガイド新入社員がリモート研修で学んだこと
イヤホンガイドってどんな会社?このコロナ禍で公演がない中どう仕事しているの?新入社員の梶田が、リモート研修の様子をレポートいたします。
1)4月1日入社式、まずはZoomの設定から
2020年4月1日、期待に胸を膨らませ、イヤホンガイド入社!
ですが、本社には先輩社員はわずか数名、がらんとしておりました…というのも、3月に予定されていた公演が中止となり、イヤホンガイドは既に在宅勤務が始まっていたのです。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、入社してすぐの新入社員研修もどうなるやらという状況で、波乱の幕開けでした。「内定取り消しにならなくて良かったよね…」と同期3人とコソコソと話したことを覚えています。
初日に行ったのは、Zoomの設定・接続確認です。いつ緊急事態宣言が発令されるかという状況で「在宅でリモート研修を受けられるように」とのことでした。これまでZoomを使用したことがなかったので、これが話題のZoomか…!とドキドキしました。
4月1、2、3、6日と4日間出勤したところで、4月7日に緊急事態宣言が発令。実地での研修が難しくなったため、当初の研修スケジュールから変更・調整されリモート研修が始まりました。
研修①イヤホンガイドってどんな会社?
研修としては、基本的なビジネスマナーを身に着けたうえで各部署の業務内容を学んでいきました。そもそもイヤホンガイドはどのような会社か、みなさまご存知でしょうか?少しご紹介します。
創業は1975年11月。今年は創業45周年の記念すべき年になります。歌舞伎の400年の歴史と比較しますと、まだまだ若い会社です。
本社は歌舞伎座付近の銀座(といっても築地寄り…)関西支社は大阪の日本橋(「にほんばし」ではなく「にっぽんばし」のほう) 国立文楽劇場の向かいに構えています。社員数は50名ほどと小規模な会社で、総務部のほか、解説の編集などをする制作部、劇場でイヤホンガイドの貸出・運営を行う営業部に分かれて業務をしています。営業スタッフは劇場貸出専任のスタッフと共に貸出をしています。この専任スタッフ、中には熟練の方が多く、新入社員の成長を何人も見届けてきた、という方もいらっしゃるとか。
イヤホンガイドの理念は「すべてのお客様に観劇の喜びを」で、
『目の前のものにプラスアルファの気づきを加えて、世界を広げてもらう』をモットーにしています。
私自身、「おもしろがる」という姿勢をモットーに大学で学んでいたので、就活時期この考えに感銘を受け、入社するならこの会社だ!と感じました。
観劇にしても日常生活にしても、自分ひとりの視点では気が付けないおもしろさがありませんか?例えば、伏線がはられている映画を観たときでも、その伏線に気が付けなければ映画を存分におもしろがることはできません。あとから友人と話をしたり、ネタバレ検索をして「あー気が付かなかった…もう一度見たい!!」となることも。
1人で観るよりも何倍も「おもしろがれる!」それが、イヤホンガイドなんです。うんちくを垂れ流す面倒な友人ではなく、邪魔にならないちょうどいいタイミングでいい具合に一緒に楽しんでくれるというのが肝です。
また、イヤホンガイド社の事業は「イヤホンガイド」だけではなく「字幕」もあります。聴覚障害の方への福祉サポートや、多言語字幕で外国人の観劇サポートなど、すべての人に舞台を楽しんでいただけるよう展開しています。
字幕は、舞台上部や左右に設置するタイプの字幕と、お客様のお手元で楽しんで頂けるパーソナル字幕機(最大8言語表示可能!)があります。台詞文字を表示するだけでなく、写真やイラストの表示も可能なんです!また改めて、字幕についてもnoteで詳しくご紹介しますね。
「イヤホンガイド」「字幕」は歌舞伎や文楽といった伝統芸能だけでなく、オペラやミュージカル、アーティストのコンサートでも活躍しております。今後も幅広い分野へ進出し、沢山のお客様にプラスアルファの気づきを与え、世界を広げて頂けるよう目指しています。
研修②イヤホンガイドの目指すかたち
イヤホンガイドは「3つのハッピー」を基本姿勢としています。
興行主とお客様、当社のみんながハッピーになるように、ということです。例えば、伝統芸能公演の場合、
・イヤホンガイドが解説をご提供する〈当社〉
・お客さまは伝統芸能をよりお楽しみいただける〈お客様〉
・イヤホンガイドがあることで伝統芸能へのハードルが下がり、お客様が劇場に多くいらっしゃる〈興行主〉
このような考えのもと、イヤホンガイドは業務を行っています。
研修③イヤホンガイドのこだわり
観劇のお供をしておりますイヤホンガイド、沢山のこだわりが込められているんです!先輩のお話を聞く中で、私が特にこだわりが感じたのは、お客様の耳に届く内容やタイミングです。
イヤホンガイドは毎日、解説者が劇場で生放送しているわけではございません。(私は当初そうだと思っていました…)大まかに言いますと、皆さんのお耳に届くまではこのような流れです。
①解説者が(解説)原稿を執筆
②それをお稽古の内容を反映させて調整
③録音・編集
④公演中、舞台進行に合わせて間違いがないか確認しながら、タイミング良く再生(=オペレート)
「舞台は生もの」ですから、動きや台詞、間合いは日々変わります。それが舞台の醍醐味でもありますよね!ですので、イヤホンガイドはその変化を確認しつつ、間違いや違和感のないようにオペレートをしています。
あくまでも「舞台が主役、イヤホンガイドは引き立て役」を心がけ、お客様が舞台を存分にお楽しみいただけるよう、日々制作・オペレートに励んでいます!
※制作やオペレートの現場に関しても、改めてレポートしていきたいですね!(制作部配属の同期にお願いしようかな…)
残念ながら8月は新型コロナウイルス感染防止のため、歌舞伎座でイヤホンガイド・字幕のお貸出しはございませが、9月貸出再開を目指して対策を練っております。
次回はコロナ禍で検討されたイヤホンガイドの課題と、リモートワークの様子をお話します。