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【初心者さん向け!演目ざっくり紹介】12月歌舞伎座「十二月大歌舞伎」公演

皆様こんにちは。
皆さまの歌舞伎観劇の第一歩をサポートする「歌舞伎はじめてガイド」

歌舞伎を観てみたいけれど、どこから情報を得れば良いのかわからない・・・歌舞伎の演目名がずらっと並んでいても、どんな内容なのかがわからなくて困る!・・・そんな初心者さん向けの「演目ざっくり紹介」、こちらは2023年12月歌舞伎座編です。


12月チラシ

12月の歌舞伎座は三部制になります。第一部から第三部まで、個性的なラインアップが揃いました!
では、さっそく、演目についてご紹介していきたいと思います。


《第一部の演目》『旅噂岡崎猫』『今昔饗宴千本桜』

まずひとつめは『旅噂岡崎猫』。

化け猫がでてくる芝居です!
「岡崎の化け猫」は、福岡の有馬、佐賀の鍋島、そして愛知の岡崎。日本三大化け猫伝説のひとつだそうです。

歌舞伎にはよく、人間に化けた動物が出てきます。怖かったり、ひょうきんだったり、健気だったり・・・いろんなキャラの動物が出てきます。
チラシのビジュアル、坂東巳之助さんの化け猫姿をご覧いただけるとわかるように、この作品に出てくるのは、かなり迫力ある化け猫です。これが動くともっと強烈です!ぜひ劇場で体感してみてください。

岡崎といえば、現在放映中の大河ドラマの主人公、徳川家康ゆかりの地でもあります。いま話題の岡崎にぜひ注目を(!?)

そして2つめは『今昔饗宴千本桜』。

この演目は、古典歌舞伎と最新技術が融合した「超歌舞伎」の演目として、幕張メッセのニコニコ超会議で初演して以来、京都南座でも上演された、超歌舞伎の代表的作品です。初音ミクの人気ボカロ曲「千本桜」の音楽と、古典歌舞伎の名作『義経千本桜』の世界が融合した作品で、再演を重ねるごとにいろいろな趣向が加えられてパワーアップしています。

バーチャルな初音ミクさんと歌舞伎俳優の共演ということで、一見、奇抜なもののようにも思えますが、新しいコラボとして、上演するごとにファンを増やしています。今回は、満を持して歌舞伎の殿堂、歌舞伎座で上演!超歌舞伎の特徴といえば、ペンライトや大向うで客席がどんどん参加して楽しむというスタイル。歌舞伎座で見たことのない光景が広がるのがとても楽しみですし、ぜひ一度は体験していただきたい!
初音ミクさんファンの方で、この超歌舞伎を通して歌舞伎の魅力にはまってくださっている方も!その事実が何よりこの演目を初心者の方にもおすすめできるという証拠です。


第二部『爪王』『俵星玄蕃』

まずは、『爪王』。舞踊仕立てで展開する、舞踊劇です。

配役を見ると、役名は狐と鷹。こちらは、動物といっても、人間に化けているわけではありません。動物を擬人化した、演劇的な表現です。
そして鷹匠。鷹匠とは、鷹の使い手、調教師のような職業です。昔は、鷹に獲物を捕えさせる「鷹狩り」という狩猟の方法があって、大名たちの遊びとしてもポピュラーだったようです。
この舞踊劇では、立派に獲物を捕えられるようになるまで鷹を教育してきた鷹匠と、鷹との絆が描かれます。動物を飼ったことがある方にもぴんとくるかもしれません。狐と鷹の戦いを表現する踊りも見ごたえあり、中村勘九郎さんと七之助さんの兄弟が踊るのも楽しみなポイントです。


そして、『俵星玄蕃』。

こちらは、講談をもとに作られる、新作歌舞伎です。
演出は、西森英行さん。ご自身の劇団で、現代演劇の演出をされてきた方ですが、昨年歌舞伎座で上演された『荒川十太夫』(こちらも講談の歌舞伎化)の演出で、歌舞伎座に新たな風を吹かせました。今回、その大評判をとった『荒川十太夫』と同じタッグで、脚本は竹柴潤一さん、主演は尾上松緑さんです。

ということで、きっと今回もおもしろい新作歌舞伎になるに違いありません。ふだん現代演劇を見慣れている方にも観て欲しいです!
ちなみに、来年1月には歌舞伎座で『荒川十太夫』の再演があります。同じ赤穂浪士の話で、時系列的にも繋がっている二作品。連続ものとしても楽しめます。この機会にぜひ。

神田伯山さんの人気っぷりで注目の講談ですが、講談と歌舞伎を聴き比べ、見比べするのも楽しいと思います。


第三部『猩々』『天守物語』

まずは舞踊『猩々』。

猩々というのは伝説上の生き物で、お酒が好きとされています。
見た目だけだと、妖怪かなにかと思うような生き物ですが、お酒を呑む姿は、ちょっと愛嬌ある可愛らしさも感じます。
今回の上演では猩々がふたり。尾上松緑さんと中村勘九郎さんという、歌舞伎界の中でも踊りに定評のあるおふたり。踊り比べにもご注目ください。

☆歌舞伎好き社員・藤之森のトークでは、『猩々』をおすすめしています。こちらもぜひチェックしてみてください。


そして、最後にお芝居が一本。泉鏡花原作の『天守物語』です。

独特な世界観のある泉鏡花の作品を、その雰囲気そのままに舞台で再現する、不思議な魅力のある作品。ほかにはない面白さがあります。
女方の最高峰、坂東玉三郎さんがこれまで何度も上演してきた演目。近年、演出にも力を入れていらっしゃる玉三郎さんのワールドと泉鏡花の世界観が融合しています。

今回は、主人公の富姫は玉三郎さんではありません。しかし、がっかりすることは全くありません!富姫を演じるのは、中村七之助さん。女方として、美しさも芝居も、いまちょうど脂が乗りきっている俳優さんです。
七之助さんは大河ドラマ『どうする家康』には石田三成役で出演されていましたが、ドラマでは観られない七之助さんの女方の魅力をぜひご堪能いただきたい!

玉三郎さんは富姫のおともだちの亀姫を演じますので、二人の美の競演も楽しみです。不思議な世界観も、劇場で観るからこその感覚です。ぜひ劇場へ!


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以上、12月歌舞伎座演目のざっくり紹介でした。皆様の「歌舞伎はじめ」に、少しでも参考になりますように!(編集A)

 


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