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ドラマ「半沢直樹」で歌舞伎を観たくなったあなたへ!タイプ別おすすめ演目をご紹介。

皆様こんにちは。
noteで連載中の「イヤホンガイド解説者のひろば」マガジンを担当している編集Aです。(ご購読くださっているみなさま、ありがとうございます!)

さて、8月、待ちに待った歌舞伎座の公演が再開しました!
イヤホンガイドは残念ながらまだ貸し出し業務を再開できていませんが、歌舞伎公演が動き出したというのはとても嬉しいニュースです。

いま、歌舞伎座再開と同じくらい歌舞伎ファンの中でも話題になっているものといえば・・・現在放送中の人気ドラマ『半沢直樹』!!
一部界隈で「もはやこれは歌舞伎では?」と称されるほど、出演陣には歌舞伎俳優がズラリと並び、そのひとりひとりが強烈な個性を放ってお茶の間を賑わせ、ざわつかせています。

『半沢直樹』をきっかけに、「歌舞伎、観たことないけど観てみたくなった」という声もSNSでたくさん見かけました。その反応、とても嬉しい!さっそく今月、歌舞伎を観てみませんか?(前のめり)


「半沢直樹」ファンの歌舞伎デビューにぴったり!8月の歌舞伎座!

ちょうどドラマ「半沢直樹」メンバーの、片岡愛之助さん、市川猿之助さん、市川中車さん(「半沢直樹」では香川照之の名義)、尾上松也さんの4名のうち、3名は今月の8月歌舞伎座にご出演中なのです。歌舞伎座に行けば、彼らの芸を観ることができちゃいます!

こちらが今月の歌舞伎座の公演情報です。↓

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え?待って。演目4つもやるの!?
どの演目がどういう内容なの!?全然わからん!
この中でどれを観るか、どうやって選べばいいの!?

…そんな声が聞こえてきました。
“歌舞伎”とひとくちにいっても、作品のジャンルはさまざま。
セリフが一言もない踊りだったり、あらすじではなく豪快な歌舞伎の雰囲気を楽しむ!みたいな演目だったり、現代劇に近いセリフのものだったり…

今回の「四部制」というのはコロナ対策もあり、いままでにあまりなかった上演形式ですが、歌舞伎は一日に何演目も違う演目を上演するというのはごくごく普通のこと。
私は、仕事柄、歌舞伎に詳しい人(または歌舞伎オタクの人)と認識されているので、歌舞伎初心者の友人たちから「今月はどの演目がおすすめ?」と聞かれたりすることもあります。確かに演目名だけでは、どんな演目なのかイメージがつきづらいところがありますね!

…ということで、前置きが長くなりましたが、独断と偏見交じりで、タイプ別のおすすめ演目をご紹介したいと思います!

☆「ザ・歌舞伎」な作品を観たいアナタには…

第一部の演目『連獅子』をおすすめします。
こちらは、黒崎役でお馴染みの片岡愛之助さんが出演。ただし黒崎のイメージとは全然違う、キリリと格好良い愛之助さんが登場する、踊りの演目です。

歌舞伎の紹介映像かなにかで、白とか赤とかのやたら長い毛を豪快に振っている映像を観たことありませんか?

こんなやつ↓

れんじしくまどりん おやこ.ai

※イヤホンガイド公式キャラクターくまどりんが連獅子の扮装をした姿。

この作品の後半に、愛之助さんと、共演の中村壱太郎さんが、こんな長い毛をまとった勇壮な「獅子」の姿で現れます!
獅子というのはいわゆるライオンとはまたちょっと違う、中国大陸から伝わった伝説をもとに創造された霊獣のことで、厳かで幻想的な雰囲気も感じます。

獅子の姿で、豪快に毛を振ったり、足をドンドン踏み鳴らしたりして踊る迫力には圧倒されること間違いなし。三味線や鼓の演奏も、どんどんどんどんテンポが速くなってすごいグルーブ感が生まれます。大興奮。もうめちゃくちゃかっこいいです。

そういう意味では、派手に盛り上がる系の音楽が好きな人にもおすすめかもしれません。

白く塗った顔に赤や黒の線で隈取をした姿や迫力満点の踊りはまさに「ザ・歌舞伎!」。歌舞伎独特の美学をぜひともご堪能いただきたい!

ちなみにこの演目の中では、愛之助さんはひとこともセリフを発しません。(黒崎のときのあの独特な口調との比較は今回はできません。次の機会までもうしばらくお待ちください。)


☆楽しい気分になりたい!劇場に行くこと自体がはじめて!のアナタには…

第二部『棒しばり』をおすすめします。
こちらの演目は、「半沢直樹」に出ている俳優さんは出演しません
ただし、いままで一度も演劇を観たことがない、劇場に行ったこともない、でも歌舞伎観てみたい…そんな方に全力でおすすめしたいのがこの演目です。

『棒しばり』は、とにかくわかりやすいし、楽しいです!
この演目は「イヤホンガイドいらないくらいわかりやすい」とかよく言われてしまう演目でもあるんですけど…(いや、でもイヤホンガイドでは、あらすじの説明だけでなく、一度観るだけではなかなか気づけない隠れたみどころポイントもリアルタイムで楽しくわかりやすく伝えるので…だからサービス再開できた折にはぜひ一度お試しくださいね…歌舞伎愛あふれる解説者たちが解説をしますので…)

セリフは狂言のようなことば使いをしていたり、多少は普通の現代ドラマとは違ってとっつきにくさはあるかもしれませんが(ことばのフォローもイヤホンガイドがあればリアルタイムでできるのですが今回はないので…)、あらすじはとってもわかりやすいことは確かです。

『棒しばり』は、お酒好きな家来ふたりが、主人の留守の間にどうにかしてお酒を飲もうと試行錯誤する物語…お酒好きな方には気持ちがよくわかるかもしれません。その様子を面白い振りで見せる舞踊劇ですが、タイトルに「しばり」とあるのがミソで、ほかにはなかなかない趣向で踊りが展開します。

お酒好きな家来ふたりの役を演じるのは、中村勘九郎さん坂東巳之助さん。勘九郎さんといえば、クドカン脚本の大河ドラマ「いだてん」の金栗四三です!ドラマつながり。巳之助さんは、歌舞伎版の「ワンピース」でゾロやボン・クレーを半端ない再現度で表現して注目を集めた奇才です。

お酒を飲んで満面の笑顔で踊る二人(コンビネーションばっちり!)を見ていると、こちらも楽しくなってきます。観劇後、気分良く明るい気持ちになりたい方にはおすすめです!

ちなみに『棒しばり』、この二人のお父様、十八代目中村勘三郎と十代目坂東三津五郎のコンビでの上演は名舞台のひとつでした。歌舞伎ファンは、早くに亡くなってしまった偉大な父親たちの芸を見事に継承しているお二人の姿を目にして目頭を熱くするのです…


☆美しいものを観たい!芸術は考えるものじゃなくて感じるものでしょ!タイプのアナタには…

第三部『義経千本桜 吉野山』をおすすめします。

こちらも踊りの演目ですが、歌舞伎の古典の名作『義経千本桜』という長いお芝居の中の一場面として作られた舞踊劇。
そのため、歌舞伎デビュー組にとってそんなにわかりやすい作品ではないと思います。日本の伝統音楽は、慣れていないと唄の歌詞を聞き取るのも大変だったりするので…

ただ、これを見逃して欲しくない理由があります。この役やらせたらピカイチ!な俳優陣が揃っているから!!!

「半沢直樹」で憎たらしく存在と顔の表情が濃ゆい伊佐山部長を演じている市川猿之助さんが出演するのがこの演目。伊佐山の時とはまっっっったく違う、すっきりと格好良い姿でキレッキレな踊りを見せてくれます。猿之助さんは歌舞伎界きっての踊りの名手。しかも今回の佐藤忠信という役は、演じてきた役の中でも代表的な役といえるもの。(歌舞伎では、「当たり役」と言ったりします。)
ちょっとネタバレになりますが、猿之助さん演じる佐藤忠信は実は狐が人間に化けた姿で、ときどき狐のような仕草を見せます。狐ですからちょっと動物っぽく、可愛らしい動きをします。伊佐山部長と同一人物とは絶対に思えない可愛さに注目を。

もうひとり、静御前を演じる中村七之助さんは、『棒しばり』出演中の勘九郎さんとはご兄弟。七之助さんの女方(歌舞伎ではご存じの通り女性役も男性が演じます)は、息を呑むほど美しいとはこのことかと思わせるくらい美しいです。静御前という役は、かの有名な源義経に可愛がられた愛妾(おめかけさん)なので、色気が必要ですが、色気もすごいです。歌舞伎の女方の芸を堪能できます。

先に書いたように、その場で内容を理解するのはちょっと難しいところもあるかもしれませんが、二人の踊りが素晴らしいので、ダンス好きなんだよな~!な方にも個人的には超おすすめ!日本舞踊の素敵さに、新たな世界が広がるかもしれません。

あとこの演目の最後には立ち回りという歌舞伎の戦闘シーンもあります。ゆっくりした踊りで見せる様式的な歌舞伎の殺陣。宙返りしたりアクロバティックな動きをみせるアクション担当もすべて歌舞伎俳優です!


☆ドラマが重要。踊りじゃなくて芝居が観たいアナタには…

第四部『与話情浮名横櫛 源氏店』をおすすめします。
ほかの三演目は舞踊の演目ですが、この演目だけが踊りではない演目です。

春日八郎の「♪お富さん」という唄はご存じですか?1950年代に大ヒットした歌謡曲で、歌詞がこの芝居の物語そのままになっています。(検索するとYouTubeなどで出てきますので興味ある方はどうぞ…)

江戸の情緒あふれる作品で、美男美女カップルのラブロマンス的なお話。
煙管や煙草盆、「何両」と数えるお金など、当時の道具が出てきて、江戸時代の生活の雰囲気が感じられるところも面白いです。

美男美女を演じるのは、松本幸四郎さんと中村児太郎さん。幸四郎さんは美男の主人公与三郎にぴったりの二枚目俳優!児太郎さんは期待の若手女方で、初めてお富の役に挑戦しています。

あと、大和田常務(今シリーズでは取締役が好きな方、香川照之さんの歌舞伎役者な姿が観られるのはこちらの演目です!貫禄ある人物の役ですが、ふてぶてしい大和田とは180度違った懐の深い良い人の役。香川照之さんはもともと歌舞伎俳優の家柄で、伊佐山役の猿之助さんとはいとこにあたります。2012年から市川中車の名前で歌舞伎俳優としても活躍。歌舞伎以外の場所で培ってきた俳優としての腕前は歌舞伎でもひときわ輝いています。


以上、いかがでしょうか。アナタにぴったりの演目、見つかりそうですか?


☆番外編?

「いや、私は瀬名社長(尾上松也さん)が気になるので、歌舞伎デビューは松也さんが出ている時までとっておきたい!」という方…とてもわかります。せっかくの歌舞伎デビュー、どうせなら好きな俳優さんが出ている時が良いですよね。そんな方にはこちらの動画をおすすめしておきます。
(松也さんが企画して、ステイホーム期間中に配信された歌舞伎俳優たちが「おうちで見得をする」動画です。)

松也さんは歌舞伎以外にも精力的にご活躍中です。「歌舞伎俳優」な松也さんが観られる日までもう少しお待ちください。

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歌舞伎俳優たちも大活躍するドラマ「半沢直樹」。
これをきっかけにより多くの方々が歌舞伎に興味を持ってくださると嬉しいです。

本当は、歌舞伎デビューの強い味方【イヤホンガイド】をお供に!!と自社商品を宣伝したいのですが、今月の歌舞伎座にはイヤホンガイドはありません。

その代わり、8月歌舞伎の演目について、イヤホンガイド解説者が観劇ポイントをご案内する動画を配信しています。歌舞伎デビューを決めてくださった方は、どうぞこちらもチェックしてみてください。↓

あなたの歌舞伎デビューをお待ちしています!


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■八月花形歌舞伎公演の情報はこちら↓


■チケットはWEBで購入できます。松竹公式チケットサイト↓


ありがとなの~♪ byくまどりん
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おもに歌舞伎や文楽など、伝統芸能をわかりやすく解説する劇場サービス「同時解説イヤホンガイド」を運営している会社です。 記事にリアクション頂くとイヤホンガイド公式キャラクター「くまどりん」が登場することがあります。https://www.eg-gm.jp/e_guide/
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