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解説者の本棚から ~江戸時代を感じられる本、集めてみました。~

本日は「イヤホンガイド解説者のひろば」の新シリーズ『解説者の本棚から』をお届け。底なしの知識で歌舞伎・文楽を案内する解説者は普段何を読んでいるの......? と、気になっている方必見です。

記念すべき第1回は白鳥真有子さんの本棚をご紹介。どうぞお楽しみください!

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文:白鳥真有子

本は最近読みましたか。私は本が好きでよく買います。いつもは積読になりがちですが、昨年は時節柄集中して読めたのでだいぶ山が低くなりました。シリーズものでは『十二国記』(小野不由美著、新潮文庫)にはまり、幸せな時間を過ごしました……本当に。できるなら読んだ記憶を消してもう一度最初から読みたいくらい、楽しかったです


それはさておき、ここは歌舞伎が好きな方に向けてのご紹介ですので、本棚から江戸時代の空気が感じられるような本を集めてみました。「時代小説もたくさん読んだから、少しちがうものが読みたいな」というときにもおすすめです。

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幕末の江戸幕府に身を置いた人たちの話

『旧事諮問録(きゅうじしもんろく)―江戸幕府役人の証言―(上・下)』
進士慶幹(しんじよしもと)校注、岩波書店、1986《岩波文庫》

「旧事」は古い。「諮問」は知っている人にたずねること。
江戸時代が終わりを迎え、20年以上の年月が過ぎ、人々の記憶から江戸幕府の姿はだんだんと消えつつありました。歴史学者たちはこの様子を残念に思い、むかし幕府に勤めていた人たちを集めて彼らに質問をし、当時の様子を答えてもらいます。これはその質疑応答を本にしたものです。

問:○○とは、どういうものでありますか。
答:○○と申すのは……

といった具合で、淡々とした質疑応答がずっと続きます。退屈じゃないのか、と言われればそこは難しいところですが、細かな事まで質問を重ねるので一般的な解説本などでは書かれないような話や、具体的をこえてまるで作業工程のような話はリアリティも抜群で、とても楽しい1冊です。

質問に答えているのは、現代に例えるなら元公務員もしくは大企業の元社員です。働いていた現場の人が語るので返答ひとつにしても説得力が違います。また、飾り気のない文章だからこそ伝わるものもあり、幕末の江戸幕府に身を置き、生きた人たちの話は、背筋が伸びるような引き締まった印象を受けます。この人たちが働く職場……もし自分がそこにいたら? 私はきっと四六時中お小言を言われていると思います。


さて、次は同じ幕末の話でもいわゆる普通の人。一般の人たちの話を聞いてみる、というのはどうでしょうか。

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