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歌舞伎の沼からこんにちは。~私はこうして歌舞伎にハマった~#3

今回の記事は、解説者それぞれが歌舞伎や文楽の魅力の沼にどうやってハマったのかをお話しする記事のシリーズ「歌舞伎の沼からこんにちは」をお届けします。

今回のご担当は、吉崎典子さんです。


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文:吉崎典子

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歌舞伎にめざめた日

わたくしが初めて歌舞伎に涙したのは、大学時代に所属していた劇団がきっかけでした。学生演劇集団で、当時流行していたつかこうへいや清水邦夫、唐十郎などの新劇を上演していました。

学生演劇といえば、お定まり。表も裏も担当します。裏方として照明部担当だったわたくしは、教授の伝手で照明器具を拝借するために、三宅坂の国立劇場に伺うことがありました。訪ねるたびに「時間があったら歌舞伎見ていかない?」と声をかけていただき、照明の担当部屋から鑑賞させていただきました。当時、劇団の稽古で体力を消耗していたわたくしは、居眠りをしながらの失礼な態度だった記憶があります。

が、ある日。作品に感動して、気が付くと号泣していました。それは坂東玉三郎さんがお三輪を演じた『妹背山婦女庭訓』の『三笠山御殿』でした。当時はどんな話かも理解せずに見ていたのですが、女官に苛められるお三輪が可哀そうで、求女(もとめ)のためならと喜んで死んでいくその健気さがいじらしくて・・・。手にした苧環(おだまき)から伸びていた糸、お三輪の十六(じゅうろく)むさし柄の赤緑の着物を今でもはっきり覚えています。
その日、「歌舞伎って面白い!」と実感。歌舞伎にめざめた記念日です。

↑『三笠山御殿』のあらすじはこちらから


中村屋とのご縁

その後フジテレビにアナウンサーとして入社し、月に一日休みがあるかないかというような、今では考えられないスケジュールで働き続けていた新人時代は、観劇に割く時間も余裕もありませんでした。しかしその後、先輩アナウンサーの野間脩平さんに声をかけてもらい、アナウンス室を中心としたメンバーで歌舞伎を見に行くようになりました。多い時で十人ほど、先輩後輩男女入り混じってよく出かけたものです。

歌舞伎のイヤホンガイド解説者であり、三十年以上の歴史を誇るフジテレビの中村屋密着特別番組を監修した、故塚田圭一さんもメンバーの一人でした。塚田さんは当時フジテレビの常務で、平成中村座ニューヨーク公演実行委員長として中村屋とも親交が深く、そのご縁でフジテレビアナウンス室の歌舞伎鑑賞後の食事会に、勘三郎(当時勘九郎)さんが顔を出してくださることもありました。

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