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《歌舞伎×○○》芸の世界が咲かせる花 ~能と歌舞伎、文化の原点に遡って~

本日は芝居好きの解説者たちに、様々なジャンルについて歌舞伎好きの視点から語ってもらおうという《歌舞伎×○○》企画をお届け!

今回のテーマは《歌舞伎×能》。「能」といえば、ただいま放送中の金曜ドラマ『俺の家の話』にも登場していて話題ですね。日本の伝統芸能を代表する「能」と「歌舞伎」について、イヤホンガイド解説者の中でも大ベテランの園田栄治さんが語ります。どうぞお楽しみください!

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文:園田栄治

いざ、能の文化を感じる地へ

佐渡島には現在でも演能が行われている能舞台が三十二もあるという。人口がわずか六万人足らずというのに、これはまた驚くべき数字ではないかということで、かねがねその実情を少し詳しく知りたいと思っていた。そこへ今回の新型コロナ騒ぎである。ほとんど全ての経済活動が縮小中止、または無期限預かりとなってしまったなかで、なんと通常の観光旅行へ国が補助金を出してくれようという。これが「GOTOトラベル」である。

さてその佐渡島観光の格安案内を見つけて、これぞまさしく「渡りに船」とばかりに、急きょ現地まで出かけてみることにした。むろん単なる野次馬ではあるのだが。

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佐渡の「能」と、能の原点

ということでさて、島に上がって二泊三日の全島巡りである。その用意されている観光スポットのなかに、なんと能舞台見学というものの入っているのが不思議だった。つまりそのくらい佐渡の文化を語るには、能が重要な要素の一つになっているということらしいのだが、もちろんちょっとした個人的な暇もつくって、ほかにもいくつかの能舞台を訪ねてみることにした。そこで改めて納得である。ここにいう能舞台とは、すべてその土地の神社の「神楽殿」であった。

牛尾神社

「潟上の天王さん」の名前で親しまれる牛尾神社
奥に見える能舞台は県の有形文化財にも指定されている。

むろんこれは今さら改めて指摘するようなことではなく、歴史的に見て当然といえば当然の存在なのかもしれぬ。ただ通常よく見かける神楽殿とは違って、演能のための橋掛かり(※1)から、その向こうは鏡の間(※2)を通じて楽屋につながる、立派で本格の造りが続いている。屋根は掛かっていても、雨ざらしのはずの床もそれなりに磨き込まれており、日頃の演能の様子が偲ばれるということで、なるほど認識を新たにした次第である。

※1 本舞台の下手側に伸びた長い渡り廊下のこと。単なる通路ではなく、演技・演出の場としても重要な役割を担う。
※2 橋掛かりの先、揚幕の奥にある部屋。登場前の役者が姿を映せるように大きな鏡が置かれている。


なぜこの地に歴史が刻まれた?

ご存知のように佐渡には、能楽の大成者・世阿弥が永享六(1435)年、七十三才で都を追われて、一時流されて来ていたという歴史がある。それがこうした能文化を残したものであろうと言いたくなるのは当然なのだが、どうやらそうとばかりは言えぬものであるらしい。

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