イヤホンガイド【観劇に+αの楽しみを!】
バーチャル芝居ゆかりの地めぐり ~ 『新版歌祭文』 野崎村 ~
見出し画像

バーチャル芝居ゆかりの地めぐり ~ 『新版歌祭文』 野崎村 ~

イヤホンガイド【観劇に+αの楽しみを!】

イヤホンガイド解説者は、解説を担当する演目について様々なアプローチで取材をしています。ときには、その芝居ゆかりの土地を実際に訪ねることも。そんな芝居にまつわる旅のことをお話する「バーチャル芝居ゆかりの地めぐり」。

2021年12月の国立劇場で17日まで上演されている『新版歌祭文』ゆかりの地・野崎村。野崎村のとなり町で育ったという横阪有香さんに、野崎村の風景と思い出を語ってもらいました。

***

文:横阪有香

油屋お染の一途な想い

「野崎村」は、近松半二という浄瑠璃作者の書いた『新版歌祭文』のなかの名場面。
大坂の中心地に店を構える油屋(という名だけど質店!)のお嬢様・お染は、丁稚の久松と深い仲になってしまった。親が決めた縁談があるにもかかわらず、久松に逢いたい一心で、彼の在所・野崎村まで追いかけてきた。

勿体もったいない事ながら 観音様をかこつけて 逢ひにきたやら 南やら」

涙ながらに久松にすがるお染。
野崎さんで親しまれるこの土地の観音まいりにかこつけて、恋しい男に逢いに来たのだった。

野崎まいりが賑やかに行われるのは初夏の頃だが、お染がおとずれたのは早咲きの梅が咲く早春。山里の春は、風がまだとても冷たい。
今でもここは、生駒おろしが吹き付けることもあって、大阪市街と比べて気温が低く感じる。

そんな野崎のすぐとなりの町で私は生まれ育った。

お染久松の比翼塚(野崎観音の境内)

浜唄の合の手に…

近所の長唄の師匠のもとへ、小学4年から稽古に通うようになった。
ある年の野崎まいりで、おっしょさんの孫のしんごちゃんが、ヒヨコを釣ってきた。
ヒヨコはふくふくと可愛く、お稽古の行き帰りに眺めていた。
数か月するとヒヨコは立派なニワトリになり、さかんに鳴くようになった。

この続きをみるには

この続き: 1,858文字 / 画像4枚
この記事が含まれているマガジンを購読する
解説者のコンテンツはその他に… 歌舞伎座「見どころポイント」WEB講座を配信中! https://earphoneguide.eg-gm.jp/m/m547424bc0b3f イヤホンガイド解説者が各部の見どころをじっくりレクチャーします。

歌舞伎・文楽のイヤホンガイド解説者が、古典芸能が好きな皆さんと共有したいことや芝居への愛を語ります。複数名の解説者が執筆を担当するので、色…

ありがとなの~♪ byくまどりん
イヤホンガイド【観劇に+αの楽しみを!】
おもに歌舞伎や文楽など、伝統芸能をわかりやすく解説する劇場サービス「同時解説イヤホンガイド」を運営している会社です。イヤホンガイド解説者の記事やトークを配信中!https://earphoneguide.eg-gm.jp/m/m2752100a0106