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《第一回》「勝手に深掘り!歌舞伎・文楽」~歌舞伎「白浪五人男」は、実は「助六五人男」

「イヤホンガイド解説者のひろば」今回は鈴木多美さんがご担当。
これまでの解説経験で「何故?」と思った疑問を、多美さん目線で深掘りする不定期連載企画「勝手に深掘り!歌舞伎・文楽」の第一回をお届けします。

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文:鈴木多美

芝居の楽しみ方は様々です。芝居を味わう、大好きな役者を観る、お弁当お土産などの劇場の雰囲気が好き、芝居見物に着るファッションはどれにしようなどなど…。しかし古典芸能は「決まりごと」が多く予備知識が必要な娯楽でもあります。
イヤホンガイドはお芝居の進行に合わせて見どころ・聴きどころを解説するサービスで、開幕前や幕間に芝居の背景・初演・あらすじ・見どころを解説しますが、限られた時間内ほとんどが駆け足で詳しくお伝えできないのが残念です。
私は解説しながら「決まりごと」に対して「何故?」と疑問が湧く事があります。その中から幾つか私なりの勝手な解釈をしたものを記事にしたいと思います。皆様に新しい解釈をお届けできたら幸いです。


歌舞伎の人気演目「白浪五人男」

文久2年(1862)3月江戸市村座初演。本名題『青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)』、作者は河竹新七(後の河竹黙阿弥)。

通称「白浪五人男」でおなじみの『青砥稿花紅彩画』は、誰が演じても大人気の演目です。今回はこの演目について深掘りしてみます。

『青砥稿花紅彩画』(=『弁天娘女男白浪』)あらすじはこちら(歌舞伎 on the web)↓


「稲瀬川の場」の疑問

題名にある「白浪」は紀元184年ごろ中国の後漢王朝末期に起きた農民たちの反乱「黄巾賊の乱」に由来し、この乱の残党が白波(はくは)谷に籠もり「白波賊」と呼ばれて略奪を繰り返しました。この白波賊は有名な「三国志」にも登場します。「白波」を訓読みにすると「しらなみ」で、日本では盗賊そのものを指すようになったのです。

「青砥稿花紅彩画」は武家のお嬢様が実は弁天小僧という男で、桜の刺青を見せて「知らざあ言って聞かせましょう。浜の真砂と五右衛門が、歌に残した盗人の、種は尽きねえ七里ヶ浜…」という七五調の台詞で強請りに来る痛快な「浜松屋」。そして、日本駄右衛門・弁天小僧・赤星十三郎・忠信利平・南郷力丸の盗賊一味の五人男が派手な小袖に傘をさして「問われて名乗るもおこがましいが、生まれは遠州浜松在…」と、「ツラネ」と呼ばれる七五調のセリフが有名な「稲瀬川」の二場がよく上演されます。

「稲瀬川」の場は、本筋と離れたご馳走の場面です。なぜこの場が誕生したのでしょうか?

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錦絵はメディア用の話題作り

初演誕生の逸話が弁天小僧を演じた五代目尾上菊五郎の自伝に出てきます。

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