「高木秀樹だより」季節の挨拶から芝居噺まで(2022年1月7日号)~高木と行く 大阪文楽ツアー 第一章~
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「高木秀樹だより」季節の挨拶から芝居噺まで(2022年1月7日号)~高木と行く 大阪文楽ツアー 第一章~

イヤホンガイド【観劇に+αの楽しみを!】

2022年の幕が開き、一週間がたちました。劇場はお正月らしく明るく華やかに、たくさんのお客様をお迎えしています。《イヤホンガイド解説者のひろば》も明るく楽しく!まいりましょう!
さて、2022年第一弾は高木秀樹さんの「高木秀樹だより」。第6回はお待ちかね、文楽発祥の地・大阪に残る文楽ゆかりの地を巡る「大阪文楽ツアー」がいよいよ出発します!

※前回の記事はこちら↓↓↓※


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文:高木秀樹

皆様ご機嫌よろしうございます。年が改まりまして令和4年(2022)となりました。本年も当欄、そして歌舞伎・文楽公演、またイヤホンガイドをご愛顧の程、何卒よろしくお願い申し上げます。

ちょっと恥ずかしい「高木秀樹だより」と名付けられました、この読み物。今回が6回目で、最初の令和2年6月の回から毎度触れているのが「コロナ」のこと。その年の3月から歌舞伎・文楽公演が中止となり、当初は再開の目途もまったく立っていないという状況でした。

それから公演が再開。客席を減らすといった感染対策を取りながら、お芝居が続けられているのは皆様もご存知のとおり。とはいえ歌舞伎では掛け声が依然として禁止。文楽では演奏の「ゆか」前の客席は座れないといった状況です。コロナ以前の「当たり前だった」芝居風景が今年こそ戻って来て欲しいですね

さて皆様、もう「初芝居」にはお出掛けになられましたか。いい響きの言葉ですよね、初芝居って。解説を担当する者にとっても嬉しいことで、わたくしの今月の持ち場である大阪の国立文楽劇場にまいりますと、解説をチェックするといった業務も忘れ、すっかりお客様気分で舞台を楽しんでしまいます。

国立文楽劇場ロビーに飾られた「にらみ鯛」。一対の鯛を飾る、上方のお正月の風習。
客席の上にも「にらみ鯛」の作り物が掲げられます。中央には今年の干支から「寅」の文字。
床の上に飾られた鏡餅。各部の開演5分前頃まで見ることが出来ます。


ゆかりの地めぐり「詳細」

さて前回、昨年11月の5回目では「文楽ツアー再現」と題しまして、平成19年(2007)にイヤホンガイドがお客様を募集して実施したイベントの「概略」をまずご案内しました。文楽の元祖とも言える竹本義太夫の竹本座が、文楽劇場にも程近い道頓堀にあったこと。そうした「文楽ゆかりの地」が劇場近くに点在しているとご案内している内、紙幅が尽き今回まで持ち越しとなりました。

ツアーが実施されたのは15年前。国立文楽劇場4月公演に合わせまして初日7日の土曜日は、まず観劇。そしてお客様には舞台裏の見学や、翌日の散策コースのレクチャーをお聞き頂きました。

翌8日の日曜日、いいお天気という朝の10時。文楽劇場前には40人を越すお客様がお集りになり、わたくし高木のガイドで「文楽ツアー」が始まりました。


【コース】
1 国立文楽劇場
2 高津宮     『夏祭浪花鑑』ゆかり・桜の名所
3 本経寺     豊竹座元祖・豊竹若太夫墓所
4 常国寺     初代・中村鴈治郎墓所
5 生玉神社    敷地内に摂社・浄瑠璃神社あり
6 浄国寺     夕霧太夫墓所
7 銀山寺     『心中宵庚申』お千代・半兵衛墓所 
8 生玉墓苑    先代・桐竹勘十郎墓所
9 青蓮寺     竹田出雲墓所
10 月江寺     『摂州合邦辻』ゆかり
11 吉祥寺     赤穂浪士ゆかり
12 家隆塚かりゅうづか     伝・藤原家隆墓所
13 勝鬘院     「愛染さん」の名で知られる寺院
14 大江神社    『夏祭浪花鑑』ゆかり
15 大阪星光学院  料亭「浮瀬うかむせ」跡
16 四天王寺    昼食休憩・伽藍拝観
17 超願寺     竹本義太夫墓所
18 安居神社    菅原道真ゆかり・真田幸村討死の地
19 清水寺     清水の舞台
20 遊行寺     植村文楽軒ほか文楽関係者の墓多数
21 合邦ヶ辻    『摂州合邦辻』舞台
22 新世界界隈   通天閣ほか、ゴール!

※前回わたくしの勘違いで、別の団体で実施した時のコースをご紹介してしまい、スタート地点など一部が異なります。申し訳ありませんでした。

高津宮の本殿横にある絵馬堂。お宮は桜の名所で当日は満開。


路上「イヤホンガイド」

このコースは我ながら良く出来ていたと自負しております。まあ場所柄ということもありますが、狭い地域に見どころが密集しているんです。ですから歩いて見て回るにはピッタリなんですが、それでも次の地点に行くまで5分、長くて10分かかってしまうこともあります。その時間が、わたくしにはとても耐えきれません。何か話題を見つけては、もうしゃべりっぱなしになります。

例えばスタートの文楽劇場から高津宮まで。ここがけっこう長い道のりで、お客様を退屈させないよう話で繋いでいかなければなりません。幸い話すことはいくらでもあります。劇場の裏手は以前「二ツ井戸町」と言われたところで、今の豊竹咲太夫や、その父で名手・八代目竹本綱太夫が住んでおりました。ですから八代目綱太夫は「二ツ井戸のお師匠さん」とも呼ばれておりました。

町名の由来である「二ツ井戸」のレプリカは国立文楽劇場前に。


そして間もなく道頓堀川に。川はやがて直角に曲がり東横堀川に入りますが、橋が二つ架かっていて、それが上大和橋下大和橋というもの。名前だけ聞いても何とも思わないでしょうが、この橋の初代は元禄年間に架けられ、近松門左衛門・作『生玉心中』に出てくる男女が、ここを渡ったとご案内すると、お芝居の説明っぽくなりますよね。これまでの解説経験が役立ちます。ですからこのツアーは「路上イヤホンガイド」みたいなものだったんです。

碑にも『生玉心中』の本文が刻まれています。
「こころこころの 商いも みな世渡りの大和橋」


高津宮(こうづぐう)~本経寺(ほんぎょうじ)~常国寺

この界隈はいわゆる寺町で、神社仏閣が密集しております。秀吉の都市計画によるもので、大坂城の南側というこの辺りを、合戦の際は城を守る防御陣地にしようとしたとか。事実「大坂の陣」において、ここ周辺は激戦地になりました。あとで触れますが家康の本陣は四天王寺に近い茶臼山に置かれ、その家康の陣に斬り込んだ真田幸村は安居神社で討死しております。

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