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【初心者さん向け!演目ざっくり紹介】6月歌舞伎座「六月大歌舞伎」公演

皆様こんにちは。
皆さまの歌舞伎観劇の第一歩をサポートする「歌舞伎はじめてガイド」

歌舞伎を観てみたいけれど、どこから情報を得れば良いのかわからない・・・歌舞伎の演目名がずらっと並んでいても、どんな内容なのかがわからなくて困る!・・・そんな初心者さん向けの「演目ざっくり紹介」、こちらは2024年6月歌舞伎座編です。

6月歌舞伎座チラシ

6月は、歌舞伎俳優が新しい名前を受け継ぐ「襲名」や「初舞台」の披露演目もあり、おめでたく華やかな雰囲気につつまれる興行になると思います。歌舞伎の特別なセレモニー「襲名」をぜひこの機会に味わって頂きたいです。

ではさっそく、6月の演目についてご紹介していきたいと思います。


《昼の部の演目》『上州土産百両首』『義経千本桜』『妹背山婦女庭訓』

まずは『上州土産百両首』。

こちらは、アメリカの作家オー・ヘンリーの短編小説をもとに、昭和になってから作られたお芝居です。オー・ヘンリーの小説といえば、『最後の一葉』『賢者の贈り物』など、人と人との心の通い合いが印象的に描かれているイメージ。こちらのお芝居でも、ふたりの登場人物、正太郎と牙次郎という幼馴染同士の関係性がとてもぐっとくるものになっています。小説を読んでいるような感覚で、物語に入り込めるような作品です。
今回は、正太郎を中村獅童さん、牙次郎を尾上菊之助さんという、歌舞伎以外のドラマや映画でも活躍の場を広げているお二人が演じますが、このお二人の「コンビ」というのは意外と珍しい組み合わせ…!お芝居の化学反応が楽しみです。


その次が、『義経千本桜』。

『義経千本桜』は、名作の古典演目ですが、今回上演されるのは「所作事 時鳥花有里」。あまり頻繁には上演されない部分ですが、舞踊仕立てで面白く観られる内容です。
『義経千本桜』という作品は、タイトルロールの義経ではなくむしろ義経を取り巻く周りの人たちにスポットがあたって物語が展開していく場面が多いのですが、今回上演される場面は、ちゃんと義経が物語の中心になります。

兄頼朝との確執によって、都を追われて落ち延びていく義経一行を描いている場面ですが、辛い旅路の中でのひとときの癒しのような華やかな踊りが披露されます。しかし、癒しのひとときも一筋縄ではいかず、「実は…」という展開が待っているのですが・・・それは見てのお楽しみ。

 

そして、昼の最後は『妹背山婦女庭訓』。

若手女方の注目株・中村梅枝さんが六代目中村時蔵を襲名して、その披露をする演目が、こちらです。
『妹背山婦女庭訓』という古典の名作で、上演頻度も高い人気の場面「三笠山御殿」です。新・時蔵さんが演じるのは、お三輪ちゃんという恋する乙女。いじわるな官女たちにいじめられたりしながらも、恋する相手のために健気に行動する姿が胸を打ちます。
梅枝さんは30代の若手俳優ですが、早いうちから大きな役に抜擢されて、数々の女方の役を演じてきました。その芸の確かさは、もはやベテランの風格。女方の師匠でもあるお父様の「時蔵」というお名前を受け継いで、今後の歌舞伎界を担っていくような、さらに大きな役者さんへと飛躍されることと思います。そんな新・時蔵さんの記念すべき襲名、見逃せません!劇中で襲名のお披露目ごあいさつもある、特別な舞台です。

 

☆歌舞伎好き社員・藤之森のトークでは、「襲名」についてお話ししています。こちらもぜひチェックしてみてください。

 

《夜の部の演目》『南総里見八犬伝』『山姥』『魚屋宗五郎』

夜の部はまず、『南総里見八犬伝』。

歌舞伎に馴染みがなくても「八犬伝」という作品名は聞いたことがあるという方が多いのでは。名前に「犬」という文字が入った8人の精鋭たちが、出会って仲間になるという、なんだか少年漫画の元ネタのようなストーリーが展開する「八犬伝」。8人がどうやって出会うのか・・・8人それぞれにワクワクする物語があるのですが、それはまた別の機会にお楽しみいただくとして、今回はとにかく8人が勢ぞろいする場面を魅せるという、なんともいさぎよい一幕となります。「これが八犬士だ!」とお披露目して終わります。
若手花形俳優たちがそろい踏みで八犬士を演じますので、見た目からどんなキャラなのかを想像しながら推しキャラを見つけるのも一興かと思います。錦絵のようなキラキラ感をお楽しみください。


そして次は『山姥』。

こちらは舞踊劇。この演目には、今月、襲名や初舞台を踏む俳優さんたちが全員揃います

今回、五代目中村梅枝を名乗って初舞台を踏むのは、現・梅枝さんのご長男、小川大晴(ひろはる)さん。あの「金太郎さん」のモデルとなった坂田金時を演じます。金太郎さんの子どもから大人へと成長する姿が、今回初舞台で歌舞伎俳優として一歩踏み出す大晴さんご本人の姿にも重なることでしょう・・・。そして、それを見守る金太郎の育ての親・山姥を演じるのが、新しく萬壽(まんじゅ)というお名前を襲名する五代目中村時蔵さん。金太郎さんを演じる大晴さんとは祖父と孫の関係です。今しか味わえない特別感のある一幕になりそうです。


最後の演目は、『魚屋宗五郎』。

この作品は、とてもよく上演される人気の高いお芝居のひとつです。歌舞伎ファンはみんな「魚宗(うおそう)」って短縮して呼びます(豆知識?)。
主人公の魚屋宗五郎は、情に熱くて真面目な人柄ですが、お酒好きで飲みすぎる癖があるのがたまにキズ。それもあって、長らく飲酒を控えていました。平和に暮らしていた宗五郎一家ですが、ある事件に巻き込まれてしまいます。その事件で最愛の妹を亡くしてしまった宗五郎・・・「酒を飲まずにはいられない」状況になり、さてどうなるのか・・・というストーリー。
テンポのよい会話で進んでいくお芝居で、酒好きの主人公・宗五郎を中村獅童さん、その妻を中村七之助さんが演じるのも楽しみです。さらに、宗五郎の家にお酒を持ってくる酒屋の丁稚の役を、獅童さんの息子さんおふたりが初舞台で演じるのも話題です。可愛らしいご兄弟が揃って登場する場面もどうぞお楽しみに。

 

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 以上、6月歌舞伎座演目のざっくり紹介でした。皆様の「歌舞伎はじめ」に、少しでも参考になりますように!(編集A)



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